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A
「今日みたいに、生徒さんに囲まれて食事するのもいいね
楽しかった」
虎杖くんたちが満腹になった頃、悟はようやく帰ってきた
遅ればせながらも、生徒さんたちと賑やかに囲んだ食卓
片付けまで手伝ってくれた3人には、感謝するばかりだ
のんびりと、悟の部屋のソファに座っていると、悟も隣に座った
悟
「いい生徒たちだよ
これからの呪術界を背負っていく逸材たちだからね」
A
「…うん
大人の私たちが、彼らの行く末が明るい未来であるように、示してあげないとね…」
悟
「…悠仁に惚れちゃったりした?」
A
「何よ、藪から棒に」
悟の言葉に、何か深みがあるような感じがして…
悟
「いや、なんか、思い出しちゃってさ…
高専時代、寮の僕の部屋で4人で鍋囲んで、どんちゃん騒ぎしたなぁって」
A
「夜蛾先生がすぐに来て、みんなで怒られたね
馬鹿騒ぎするな、って
懐かしい…」
悟
「…僕は…
俺は、もっとオマエと青春時代を過ごしたかった
過ぎたことだから仕方ないけど…
空白の5年は、俺にとっては、長すぎた…」
じっ、と私の方を見つめて、悟は言った
私は、この瞳に弱いんだ…
この人は、強いはずなのに…
ふと、その瞳の奥はどこか寂しさというか、孤独が見え隠れする
そんな彼を、思わず抱きしめてしまった
悟の香りがする…
A
「…なら、時間を遡ってみる…?
過去を、やり直してみる?
…今のこの現実が、全く違うものになったとしても…?」
悟
「…いや、やめておくよ
君にその力を使わせるわけにはいかない
君の力はこの世界を歪めてしまう」
A
「…大切なものを取り戻すためなら、私は構わない」
悟
「…ダメだ
時の神の器である君を守るのは呪術界の役目
けど、A自身を守るのは、僕の役目だ
この先、呪術界上層部と違えることになったとしても、Aのことは僕が守る」
青空のような澄んだ瞳は、真っ直ぐに私を見つめていた
私、五条Aは時間を司る神様の器
過去に一度だけ、器として神の力を使った
大切な人を…
幼馴染の夏油傑を、取り戻したかった、という理由で…
世界を改変してしまうかもしれないリスクも覚悟で、その力を使った
そして、その力を使った代償として、私は私の時間を失った
約5年の月日を眠り続け、私は青春時代を、失った…
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作者名:神奈月 | 作成日時:2024年1月20日 23時