14 ページ14
A
『契約成立だ
娘を頼むぞ、六眼の子よ…』
その言葉と同時に、ザワザワと外の木々が鳴り始めた
時間が、動き始めた…
俺以外の人や物が全て止まっていた…
不思議な体験だった
悟
「オマエ、名前は?」
彼女名前を聞くと、はにかみながら答えてくれた
A
「…A…」
悟
「A、喜べ!
俺がオマエを守ってやる
大人になったら結婚してやるよ!」
子供とはいえなんてことを言ってしまったんだ、と今では思う
初対面でそんなことを言われ、Aは目尻を釣り上げた
A
「嫌!!」
まぁ、そう言うのは当たり前だ
けど当時の僕は、俺が言ってんのに何様だ、とまで思っていた
…そんなこと思ってたなんて、口が裂けてもAには言えない
僕たちの両親は、Aに神様が憑いてると知り、一時は大慌てしていた
けど、その真実は公にせず、僕と両親たちだけの知るところとなった
公にしたら、Aが危険な目に遭うと心配したからだ
もしかしたら、呪術界の上層部がAを危険視する可能性もあった
それらの状況を踏まえ、両親たちは僕たちを許嫁という名前で将来を約束させ、Aの身の安全を第一に考えた
五条家の本家がついていれば、周囲も下手に手出しはできないからだ
僕自身、Aのことは、そこそこ可愛いと思っていたし、神様との約束もあるから、守らなきゃいけないとは思っていた
けど、この頃のAは…
僕でなく、幼馴染だという男のことを慕っていた
僕のことは、眼中になかったんだ…
271人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神奈月 | 作成日時:2024年1月20日 23時