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A
『契約成立だ
 娘を頼むぞ、六眼の子よ…』

その言葉と同時に、ザワザワと外の木々が鳴り始めた

時間が、動き始めた…

俺以外の人や物が全て止まっていた…

不思議な体験だった


「オマエ、名前は?」

彼女名前を聞くと、はにかみながら答えてくれた

A
「…A…」


「A、喜べ!
 俺がオマエを守ってやる
 大人になったら結婚してやるよ!」

子供とはいえなんてことを言ってしまったんだ、と今では思う

初対面でそんなことを言われ、Aは目尻を釣り上げた

A
「嫌!!」

まぁ、そう言うのは当たり前だ

けど当時の僕は、俺が言ってんのに何様だ、とまで思っていた

…そんなこと思ってたなんて、口が裂けてもAには言えない






僕たちの両親は、Aに神様が憑いてると知り、一時は大慌てしていた

けど、その真実は公にせず、僕と両親たちだけの知るところとなった

公にしたら、Aが危険な目に遭うと心配したからだ

もしかしたら、呪術界の上層部がAを危険視する可能性もあった

それらの状況を踏まえ、両親たちは僕たちを許嫁という名前で将来を約束させ、Aの身の安全を第一に考えた

五条家の本家がついていれば、周囲も下手に手出しはできないからだ

僕自身、Aのことは、そこそこ可愛いと思っていたし、神様との約束もあるから、守らなきゃいけないとは思っていた

けど、この頃のAは…

僕でなく、幼馴染だという男のことを慕っていた

僕のことは、眼中になかったんだ…

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作者名:神奈月 | 作成日時:2024年1月20日 23時

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