プロローグ ページ1
深い新緑に囲まれた校舎
呪術高専
一年生はわずか3人
けれど、校舎には明るい声が響いている
放課後
虎杖
「伏黒ー、釘崎ー
俺、ちょっと家入さんに呼ばれてっから、行ってくる」
伏黒
「家入さんに?
珍しいな」
虎杖
「なんか、定期健診的な?
忙しいから時間に遅れず来るように、って」
釘崎
「ふーん…
あたしは買い物行くから先に帰る」
伏黒
「俺は次の任務のことで五条先生に呼ばれてるから、またな」
虎杖
「おぅ、んじゃお先ー!」
俺は家入さんが待つ研究室に向かった
生徒は少ないが、校舎は広い
廊下から見える中庭には、2年生が体術の訓練をしているのが見える
仲良いんだよな、あのメンバー
そんな光景を横目にし、やっと研究室の扉が見えてきた
横に開く扉に手を掛けて、俺は勢いよく開け放った
ガラッという独特な音が響く
虎杖
「家入さん、時間通りに来まし…ー」
扉を開けて一歩踏み出した時、ドンッと正面から何かとぶつかった
虎杖
「ぉわっ…!?」
??
「きゃぁ…!」
俺とぶつかったのは、女の人だった
ぶつかった衝撃で、その人がよろめいた
慌てて手を伸ばして倒れないように支えてやる
虎杖
「す、すみません、前見てなくて…」
??
「いえ、こちらこそ…
ありがとうございます
おかげで、倒れずにすみました」
そう言いながら顔を上げたその人は…
白い肌に真っ黒な瞳が印象的だった
硝子
「A、大丈夫?」
A
「えぇ、大丈夫」
硝子
「虎杖、Aがぶつかったみたいで、悪かったね」
虎杖
「ぁ、いえ、俺は全然大丈夫っす!」
白衣のポケットに手を突っ込んだまま、家入さんが研究室の奥から顔を出した
A
「君が、噂の虎杖くん?
さっきも、硝子から話を聞いてたの
ここ、ちょっと特殊な環境だけど…
あなたならきっと大丈夫
無理しないでね」
虎杖
「ぇ、ぁ…
はい!頑張ります!」
A
「うん、頑張りすぎない程度に、ね?」
ふわっと笑って、その人はそう言った
硝子
「虎杖、そろそろその手をどかした方がいいぞ
あいつが見たら、またうるさいことになるからな」
その手…?
あいつ…?
そう言われ、俺はようやく状況を理解した
俺、その人が倒れないように支えて、腰に手を回したままだった
虎杖
「すっ、すみませんっ…!」
慌てて、パッと手を離す
A
「虎杖くん、ありがとう
硝子、また時間見て顔出すから、またね」
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作者名:神奈月 | 作成日時:2024年1月20日 23時