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ありがとう

そういう前に、気が付いたら千冬に抱きしめられていた

彼の香りがする

とても、安心する

A
「…ち、ふゆ…?」

千冬
「お前、なんかもう、壊れちまいそうじゃん…
 無理して前に進まなくたって、場地さん、怒んねぇよ
 少しずつでいいだろ
 なんで、1日でこんな強行突破みたいたことすんだよ…」

A
「そっ、それは…
 あんまり何回も千冬を誘うの、忙しいだろうから申し訳なくて…
 だから、1日でなんとか回れるように…んっーー」

まだ、最後まで言い終わってないのに

今度は唇を塞がれた

後頭部には千冬の大きな手が添えられて、全く身動きが取れない

何度も、角度を変えるキスに、頭がぼぉっとしてくる

膝から崩れ落ちそうになると、腰の辺りをしっかりホールドされる

A
「…ちっ、千冬っ…」

千冬
「…俺、今のは謝らねぇよ…
 なぁ、俺、お前が抱えてるもの、一緒に背負いたい
 少しでも、お前の苦しいことも悲しいことも、理解したい
 順番、違くなったけど…
 俺、Aが好きだ
 Aといるとなんか安心すんだよ
 だから、俺の側にいてくれねぇか?」

唇を離しただけの至近距離で、千冬はつぶやくようにそう言った

吐息が触れる

A
「…千冬…
 私っ…」

なんて答えていいのか、わからない

彼に惹かれているのは自分でもわかっている

きっと、この感情が、好きというものなんだろう…

たった、数回しか会ったことない彼を…

千冬
「お前、いつも晴れない顔してる
 無理すんなよ
 辛い時は辛いって言え
 泣きたい時は泣け
 ちゃんと、受け止めるから」

ずっと、欲しかった言葉

辛い、苦しい、悲しい、泣きたい

ずっと、そんな感情を押し殺してきた

誰かに、わかってもらいたかった

トラくんとの一件で、一瞬だけ覗かせた自分の心の奥にある感情

今、全部吐き出していいかな

そう思った瞬間、涙が止まらなくなった

圭介くんが亡くなったから初めて、私は声を上げて泣いた

ただ、黙って抱きしめてくれてるこの温もりは、私の生涯できっと忘れられないものになる

千冬…

あの日、あなたに出会えたのは、本当に偶然だったのかな…

いろんな偶然が重なって、実は必然だったんじゃないかな…

ねぇ、この涙が止まったら、ちゃんと答えるから

あなたが好きです、って

あの頃から止まっていた心の中の時計が、少しずつ動き出したようだった

重なる指先→←22



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神奈月(プロフ) - 凍ったライムさん» ご指摘ありがとうございます。気付かずに申し訳ありませんでした。早急に対応いたしました。 (2022年9月25日 16時) (レス) id: 4cb915c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - コメント失礼します、オリフラついたままになっていませんか? (2022年9月25日 15時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年9月24日 15時

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