14 ページ14
こどもの殴り合いなら、ケンカといっていいかもれしない
でも、大人はそういうわけにはいかない
ケンカなんて言葉じゃすまない
A
「と、トラくん…」
殴り合いなんて、絶対にしてほしくない
彼を、どうしたら止められるか必死に考えていた時だった
男の1人が急に顔色を変えた
男
「トラって…
おい、こいつ、やべぇよ…
首に虎の刺青っ…!
羽宮だ、羽宮一虎だっ…」
男
「ぉ、俺もパスだっ…
やべぇよ、本気で殺 されるぞ…っ!」
2人があわてて逃げていき、もう1人も訳がわからないといった様子だったけど、彼らを追うように逃げていった
3人が去り、トラくんと2人
一虎
「…おれ、そんなにやべぇ…?」
きょとんとした顔をして、首を傾げると、鈴のピアスがリンと鳴った
A
「…あの人たちがそう言ってるんだから、やべぇんじゃない?」
一虎
「お前までひでぇなぁー
ったく、俺が不良してたのっていつの話してんだか」
ははっ、と彼は笑った
A
「あ、あのっ…
ありがとう、助けてくれて…」
一虎
「ん、なんもなくてよかった
偶然、お前見つけて、声かけるか悩んでたら、絡まれてたから」
A
「…ありがと」
この前のこともあって、彼の顔をまともに見れない
一虎
「帰る途中なら、送ってく
っつーか、寄り道しねぇで帰れよ
手、震えてんじゃん」
言われて気が付いた
まだ、震えていた
でも、千冬との約束、今日かもしれない
こんなことならせめて、電話番号くらい聞いておけばよかった
少し悩んだけれど、やはり、このままどこかに寄って帰る気にはなれなかった
A
「…うん、帰る…」
一虎
「なら送ってく
言っとくけど、お前に拒否権はないからな
…お前になんかあったら、場地が怒るから」
A
「…ふふっ、なにそれ
別に、圭介くんは彼氏でも父親でもないから」
一虎
「兄貴以上彼氏未満?」
A
「…もういいです…」
そんなやりとりがなんだか少し楽しくて、子供の時に戻ったようだった
A
「お言葉に甘えて、送ってください
…この前借りてたシャツ、返したいし…」
一虎
「ないと思ったら、持って帰ってたのか…」
A
「クリーニング出したりして、なかなか返せなくて…」
この日、トラくんにマンションまで送ってもらい、借りていたシャツを返すことになった
157人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神奈月(プロフ) - 凍ったライムさん» ご指摘ありがとうございます。気付かずに申し訳ありませんでした。早急に対応いたしました。 (2022年9月25日 16時) (レス) id: 4cb915c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - コメント失礼します、オリフラついたままになっていませんか? (2022年9月25日 15時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神奈月 | 作成日時:2022年9月24日 15時