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旧廃車場を後にし、Aはおすすめの店があると言って、晩飯そこに行くことになった

落ち着いたイタリアンの店は、今のAがいかにも好みそうな感じだった

話題は尽きないが、お互いに場地さんのことも、今日のことも、触れない

なぜ今日俺を誘ったのかも、Aは言わない

そのうち、話してくれるだろうか

A
「ねぇ、千冬?」

千冬
「ん?」

A
「このあと、最後にもう1箇所だけ付き合ってもらえる?」

穏やかだけど、少し悲しそうな顔をしている

お前、今日はずっとそんな顔してる

というより、初めて会った時から、どこか憂いを帯びた表情ばかりだ

千冬
「今日は1日って約束だろ
 まだ時間あるから構わねぇよ」

A
「…ありがと」










最後に行きたいと言った場所は、とある埠頭だった

工場夜景が見える、静かな埠頭だ

潮風が、冷たい

Aは柵に手を添えると、静かに話し出した

A
「千冬…
 今日は、何も聞かずに1日付き合ってくれて、本当にありがとう」

千冬
「なんだよ、急に
 さっきも言ったけど、1日って約束だったからな
 それに、嫌なら最初から来てねぇよ」

俺の上着をAの肩にかけて、隣に並んで立つ

その先に見えるのは工場の夜景

A
「千冬が風邪ひいちゃうよ」

千冬
「大丈夫
 俺、丈夫だし」

そう言うと、Aはくすくす笑った

A
「ありがとう
 …千冬にありがとうって言うの、何回目だろうね…」

わかんね、と言うと、Aも数えてないもんねー、と言った

A
「…今日、最初に行った海ね、子供の頃に圭介くんと涼子ちゃん…
 ぁ、涼子ちゃんって、圭介くんのお母さんね
 あと、私の母と、何回か行ったことあるの
 海に着くとすぐに裸足になって、思いっきり海に飛び込んで…
 服のまま入るから、圭介くん、いつも涼子ちゃんに怒られてたんだ…」

千冬
「場地さんらしいな
 で、おばさんの強烈なケリとか入るんだろ?」

A
「そうそう!
 稽古つけ直してやるー!って感じで」

なんか、目に浮かぶし、似たような光景を目にしたこともあるな

A
「次に行った空き地になってたとこは、駄菓子屋があったの
 よく、圭介くんと一緒に行ったんだ…
 ファミレスは、私が中学に入った時に、初めて友達だけで食事をしたところ
 圭介くんが、東卍の創設メンバーを紹介してくれたとこなんだ…」

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神奈月(プロフ) - 凍ったライムさん» ご指摘ありがとうございます。気付かずに申し訳ありませんでした。早急に対応いたしました。 (2022年9月25日 16時) (レス) id: 4cb915c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - コメント失礼します、オリフラついたままになっていませんか? (2022年9月25日 15時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年9月24日 15時

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