仲良しJUMP 12

ゆーや ページ15

慧side


一瞬の出来事だった。

高木に帰ってこいと声をかけても聞こえてないのか飛び込み、山田を抱えたのを確認しほっとした瞬間だった。


浅瀬に投げられた山田の半身と顔に傷が付き、意識もあるのかないのかはっきりしないまま。



侑:「涼介！涼介！！！」

涼:「…うっ…ん…」

侑:「ダメダメ。目開けて」



高木は次の波でどうにかこうにか陸に戻ってきたが、戻ってきた頃には意識がなくなってしまってた。




救急隊の人に運び込まれ、知念、大ちゃん、俺は山田に付き、残りは高木に付いて救急車に乗り込んだ。



救急隊の人に応急手当をしてもらって辛うじて意識は保たれたままの山田。

と、隣でしゃくり上げながら泣く知念と、シクシクと泣く大ちゃん。そんな俺も涙が止まらない。



病院に到着すると2人とも緊急オペになった。

待合室は鼻をすする音が響いてて。

ほら見てみろよ。知念の泣き方ちっちゃい子みたいだろ？山田なら微笑むよな？



そう、俺らはこの時高木の重篤さを知らなかったんだ。



裕:「おっと、ちぃ？…知念？！」

慧:「俺、誰か人呼んでくる。むやみに揺すったり体触ったりしたらだめだからね？」

宏:「俺も行くよ。光頼んだ」



泣きに泣き、眠るように意識を飛ばした知念。

急いで看護師さんを呼び、血圧と体温と心音を聞いてもらい、過度なストレスいわゆるPTSDの症状だろうとのこと。これから2人が入る個室の簡易ベッドに寝かせる。

当の本人はスヤスヤと寝息を立て、たまにいびきをかいてるから心配はいらないだろう…。

それより心配なのは大ちゃん。

知念が意識を飛ばしてから身体が小刻みに震えて息も浅い。



慧:「大ちゃん、こっちおいで。」



普段てきとーだのなんだの言われるけど今日ぐらいしっかりとお兄ちゃんになるからね。

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