歳上だけど、妹のような【黄】

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「音楽って何が好きなの？」


ずっと会話に入らないのも不自然だと思い投げかける。
ほんの少し彼女がほっとしたような顔をしたのは、きっとアニメの方にはあまり触れてほしくないのだろう。


「何系聞くの？」

「えっ…何系…何系…？」


また困ったように彼女は目をキョロキョロと泳がせた。
何だか獲物に狙われた兎のようだ。


「あいどるとか…あにそん…？」


自分のことなのになぜ疑問形なのだろうか。
コテンと首を傾げる姿にあざとさを感じる。
アニメを見ると言ってアニソンという回答は無難に正解なのだろう。
もうやめてと言わんばかりに残った飲み物を煽るように飲んだ彼女に思わず苦笑い。


「アイドルってジャ○ーズとか？」

「何のグループが好きなの？」


それでも逃してもらえないらしい。


「も〜…やめてください。そんなに掘らないで。」

「恥ずかしがらなくてもいいじゃん！」

「やだやだー！」


舞さんに隠れながら嫌々と首を横に振る姿は、やはりあざとい可愛らしさを生み出していた。
"男ウケ"
そんな言葉を思い出す。
克服したと思っていた苦手意識は潜在的に残っていたようだ。
どこか似てると思って気にしていたが全然僕と似ていない。
きっと興味が失せたのだろう、と自分のお皿に取り分けられ残っていたサラダを口に含んで咀嚼する。
ごくりとドレッシングの味しかしない葉っぱを読み込んだとき、彼女の逸らした視線が僕と交わった。
その前に誰と視線が交わっていたのか、気になった自分がいたことは無かったことにした。

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