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「Aごめん!彼氏が迎えに来てくれるみたいで…。」


再びの謝罪はパチリと顔の前で手を合わせて申し訳なさそうにする舞。
でもどこか嬉しそう。
こうして独りぼっちになっていくのか、と実感する。


「ううん、大丈夫!ご飯食べ終わったし、迎えが来たら出よ。」


明日は休みだもんね。
付き合いたてのカップルならほぼ確実にデートにもってこいだ。
そんな貴重な時間を、報告のために私に割いてくれただけでも有難いと思わなくちゃ。

ぼーっと砂糖をたっぷり入れたコーヒーを啜る。


「…あまっ。」

「ん?」

「ううん。なんにもないよ。」


ミルク半分に砂糖1本。
あの時颯太くんがかき混ぜてくれた、ドリンクバーのうっすいコーヒーが、なんだか無性に懐かしく思えた。

迎えが来て舞と別れる。
私との時間だったのに。
あっさり離れていくことに嫉妬と空虚感を同時に味わう。
だめだ、だめだ。
友達にこんなに重すぎる感情。
頭を横に振って意識を逸らす。


『是非よろしくお願いします。』


先延ばしにしていた健太さんへの返事を打ち込んだ。
すぐに既読がついたことが怖かった。
それでも、どこかホッとした。


『良かった。がっつきすぎちゃったかと思った。』
『Aさんは都合のいい日ありますか?』

『基本土日は空いてます。』

『急ですが、明日とか空いてます?』


本当に急だな。
そう思いながらも、早いとこ済ませてしまった方が、多分後回しにすればするほど行きたくなくなる。
今はこの寂しさを誰でもいいから埋めてほしい。


『大丈夫ですよ。』

『何か食べたいものとか、好きなものってありますか?』

『うーん…お肉か…パスタ!』

『パスタ!いいですね!おすすめのイタリアンあるのでどうですか?』

『是非!』

『住所か目印教えていただければ迎えにいきます。』


お店も指定してくれるし、迎えに来てもくれる。
ありがたいことこの上ない。
ほんの少し、寂しさが埋まったような気がした。


『ここのコンビニでお願いしてもいいですか?』
『明日はよろしくお願いします!』

『わかりました!』
『楽しみにしています。』


それでもほんの少し感じる面倒臭さが捨てきれず、終わりやすい文章で閉じた。


「はぁ…生きるの向いてない。」


呟いた言葉は、冷たさの感じる薄暗い駐車場の空気に紛れた。

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作品ジャンル:恋愛
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唯凛(プロフ) - 蝉-セミ-さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけるように頑張ります!また見にきてくださるととっても嬉しいです(^^) (2021年12月5日 19時) (レス) id: 365f6982f1 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - みなさん» ありがとうございます〜!!ついに(?)新作出せました〜!宣言してからだいぶ経ちましたね…(汗) 相変わらずのんびり幸せの詰まったお話にしたいな〜と思いつつ、起承転結つけられるよう頑張ります! (2021年12月5日 19時) (レス) id: 365f6982f1 (このIDを非表示/違反報告)
蝉-セミ-(プロフ) - 好きです。(唐突)面白い上に文章が素晴らしくて尊敬します(´;ω;`)次の更新がとても楽しみです。失礼します。 (2021年12月4日 23時) (レス) @page13 id: 19d8717651 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 新作おめでとうございます!そしてありがとうございます!笑 これからどんな展開になるのか…楽しみです!! (2021年12月4日 18時) (レス) @page13 id: 73aaf1c921 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年12月4日 16時

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