歳上だけど、妹のような【黄】

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ASide

カラオケもそこそこに、健太さんとお話し。
と言っても、聞くばかりで私はあまり話していない。
正直、興味を持っていないであろう人に私の話をするより、興味のない話に相槌を打つ方が楽だ。
人前で歌う歌もないから、こうしてマイクが回って来ないのもまた楽。


「Aちゃんは歌わないの？」


そう思っていた矢先、自分だって歌ってないくせに、突然振られる。
話す内容が尽きてきたのだろうか。


「私は聞いている方が好きだから。」

「あのさ…、男の人がどんなの歌ってるのにドキッとする？」


少し恥ずかしそうに問われる。
あっ、この感じ、逃げ出したい。

うまく表情が作れているだろうか。


「んー…わかんない。男の人とカラオケとか行ったことないから。」


誰かが歌っている曲に興味を引き戻させようとしても、巷で流行りの曲は、サビは知っていても、題名も誰が歌ってるかも知らない。
話題にすらできやしない。

迷った末、少し残ったドリンクを急いで飲み干し、新しいのを取ってくる、と曲が終わったタイミングで部屋を出た。


「はぁ…。」


疲れたな。
そう思いながら、カラオケに着いた途端のため息を颯太くんに聞かれていたことを思い出して、周りを見渡す。
よかった。
今度は誰もいなかった。

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