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り「気持ち悪くない?大丈夫?」
莉犬くんは朝に強いのか、それとも飲まないからか、パッと起きていつもみたいに駆け寄ってきてくれる。
心配そうに顔を覗かせてくる莉犬くんは、私のさっきの妙な間など気にしていないようだった。
「だい…じょーぶ。」
自分でも聞き取りにくいほど、小さな声。
そんな声でも、莉犬くんは尻尾があったらぶんぶんと音が出るくらい振っているだろうと思うほど、嬉しそうに笑った。
り「声出た!」
「うんっ…!!」
私と同じくらい喜んでくれている莉犬くん。
思わず思いっきり頭を縦に振ったせいで、頭痛が酷くなる。
「いたい…。」
こ「あっ、ばか、何やってんの。」
「ゔぅ〜…ころちゃぁん…。」
こ「はいはい。」
呆れながらも受け入れてくれる。
ころちゃんが嬉しそうなのは、私の声が出たからかな。
り「これでもっといっぱいお話できるね!」
「たくさん…おはなししたいっ…!」
り「うん!」
莉犬くんにつられて思わず笑う。
振り返ったら、さとみくんが優しい瞳で私を見ていた。
散々振り回して、デートをダメにしたのに、さとみくんは優しい。
いつもわがままばっかでごめんね。
そんな思いで抱きついた。
さ「いいよ。Aちゃんがそばに居てくれるだけで。」
小さく呟かれた言葉は、いつもより甘い声。
さ「でも無理はしないで。心配になる。」
ぐりぐりと肩口に額を擦り付けられたあと、顔を上げたさとみくんはそっとわたしのほおを撫でる。
大きな手は安心して、痛みをとってくれそうで、その手を頭に移す。
さ「ははっ。ころんに薬でももらったら?」
ごめんね、ってもう一度謝ろうとした言葉はさとみくんの言葉に遮られる。
「…お薬…もってる。のんだらデートできる?」
さ「それは状況次第。」
「…おくすりのむ。」
さ「うん。そうしてくれ。」
カバンから薬を取り出して、再びころちゃんにお水をせがみに行く。
「ころちゃん、お水頂戴。」
こ「ん?薬飲むの?あっ、ついでにるぅとくん起こしてきて。僕が起こしたら叩かれそうだから。」
「…なんのついででもないんだけど。」
こ「いーじゃん。ほら、早く行った行った。」
お水で錠剤を流し込んで、るぅとくんの眠っているところへ向かう。
なんか叩かれるとかいってたな、とほんの少し怖くてさとみくんを引っ張っていくことにした。
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唯凛(プロフ) - 友達に腹黒ドSサイコパスと言われた…さん» コメントありがとうございます!こんな拙い文章でも読んでいただけるだけで嬉しいのに、好きなんてめちゃめちゃ嬉しいです…!ちまちまと書いていきますので、これからも読んでいただけますと幸いです(^^) (2022年2月2日 20時) (レス) id: 1a2f301bb5 (このIDを非表示/違反報告)
友達に腹黒ドSサイコパスと言われた… - こんにちは!更新されてる!大好き過ぎて…いや、『愛してる』って告白したいくらいこの作品好きで、毎日のように確認してました!グヘ、グヘへ〃´∀`〃((殴⊂`д´⊂これからも応援してます!!更新ゆっくりで大丈夫なので頑張ってください! (2022年1月31日 23時) (レス) @page47 id: 95427cdf5c (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - らいか。さん» コメントありがとうございます!無駄に長くなっているのに見返していただけてるなんて…!!まだまだ続きますが、読んでいただけたら幸いです。楽しんでいただけるものを書けるように頑張ります!! (2022年1月24日 18時) (レス) id: 7d79fc65fd (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - ぽわさん» コメントありがとうございます!大好きなんて言っていただけてとっても嬉しいです!読んでいただけるだけでも嬉しいのに、コメントいただけて本当嬉しいです。励みになります!かなりのんびり更新になっておりますが、これからも読んでいただけたらとても嬉しいです! (2022年1月24日 18時) (レス) id: 7d79fc65fd (このIDを非表示/違反報告)
らいか。 - こんにちは!この話大好きです!更新ないときも今までの見返してずっと待ってますね!これからもよろしくお願いします!頑張ってくださーい! (2022年1月23日 7時) (レス) @page45 id: 843b3dd826 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年11月2日 6時