話したい14【桃】

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あぁ、やっちまった。

話したい、って気持ちが強かったのか、俺を怒らせたと勘違いしてなのか、下がった眉に罪悪感が募る。


こ「はぁ…。学祭の買い出し行ったんだよね？そこでたまたまるぅとくんたちに会って、お互いナンパと勘違いして、軽く揉めたんだよね。」

る「なんか…ごめんなさい…Aちゃんに怒られちゃったから気になってて…。」


呆れたようにため息をついて説明してくれたころんに、同意で頷いている。
るぅとも申し訳なさそうに頭を下げている。

でも、冷静さを欠いてたのは俺のほうだ。
ただ、否定した手前、謝るタイミングなどとうに逃していた。
だから彼女の大好きなスキンシップでその罪悪感を無かったことにしてしまった。


さ「何？友達、新しくできたの？」


頭を撫でながらそう聞けば、安心したように笑って再び大きく頷いた。


れいら「その男の子と、もう一人女の子、ね？それにゼミの子と一緒に作業するのも逃げずに頑張ってるもんね？」


れいらちゃんの問いかけに、ドヤ顔。
きっと、食事前に聞いて、って言った話の一つだったのだろう。
別に隠されていたわけでもない。
なかったことにしたはずの罪悪感は、ほんの少し心の中に引っかかったままだった。

自分の知らないAちゃんがいる。
そんなことは当たり前なのに、全てを知っていたいと思うような、強欲な考えばかり浮かぶ。
それが牽制だったり、独占欲だったり、そんな名前を持つことに気づきはしなかった。


さ「いいな…。」


それでもぽろりとこぼれた言葉は本心だった。
自分の知らない姿に感じた焦りなのかなんなのかわからない感情を、言葉で表した言葉はたった3文字の単純なものだった。


な「何が？」

さ「学校でのAちゃん。そんな頑張ってる姿、ちょっと見たくなっちゃった。」


隠しきれてないような羞恥心を誤魔化すように残っていたアルコールを煽った。


こ「じゃあさとみくんもこれば良いじゃん。」

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