この運命は恋ですか？ 4【桃】

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ASide

もう夜遅いからご飯だけだけども、少しの時間、さーくんと久々のデートをした。
外は夜風で少し肌寒い。


さ「上着着てこいよ。」

「…だってそうしたらワンピースの可愛さ隠れるじゃん。」

さ「別にAが可愛いことには変わらないんだからさ。」


恥ずかしいようなセリフでもドキッとしてしまうのは、きっと彼だから。
自分の着てたデニムジャケットをかけてくれる。


「さーくん寒くないの？」

さ「別に。パーカーだから大丈夫。着とけ。」

「…ありがと。」


当たり前だが、袖を通したらぶかぶか。


「ねぇこれなんか恥ずかしい！」

さ「なんでよ。」

「だって絶対私のじゃないってすぐバレる！」

さ「いいじゃん。変な人に声かけられないよ。」


余った袖でぶらぶらと遊んで見せる。
気に入らない、と思ったが、さーくんの方を見たらあまりに愛おしそうな瞳をしていて何もいえなくなる。


さ「ふっ。急にしおらしくなった。」


どうやら無自覚らしい。


「ねぇ、ご飯どこ行くの？」


やられっぱなしなのが悔しくて、袖から少しだけ手を出して、さーくんの手にちょんっと触れながら聞いてみる。
こんな相手を落とすみたいな、急に冷静になると何やってるんだろう。
けれどもさーくんには効いたようで、暗闇でもわかるくらい頬を赤くして狼狽えている。


さ「何やってんの俺ら。」

「ふふっ。」


結婚しているんだから、こんな駆け引き私たちには不要だ。
でもこんなごっこ遊びみたいなこともたまに悪くない。

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