この運命は恋ですか？ 4【桃】

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Satomi side


「…今回めっちゃ疲れた…。」


無理矢理ヒートを起こして1週間。
ヒートも治り、さぁ仕事復帰というところであったが、あまりの疲労に休みを取ったA。
会社に連絡を入れて、朝食も取らずにベッドへ逆戻り。


さ「大丈夫？」

「大丈夫…じゃない…。なんでさーくんそんなに元気なの？」


元々の体力もあるだろうが、A自身がひ弱なのもある。
無理させすぎた罪悪感はあるが、言うても毎回誘ってくるのはそっちだと文句を言いたくなる。


さ「まぁ今日は何もせずゆっくり休め。明日は仕事行くんだろ？」

「うん！」


返事は元気だが、ベッドから起き上がる気はないらしい。


「んー…熱出したわけでもないのに仕事休んでると罪悪感…。」

さ「でも動けないほどしんどいんでしょ？」


労りも込めて頭を撫でれば、気持ちよさそうに目を細めている。


「まぁね〜。上司も有給使ってなさすぎだって怒られたからちょうど良かったのかもしれない。いつもヒートの次の日は休めって言われてたし。」


聞けば、結婚してからより強く言われていたらしい。
理解がある、そんな職場に就職したAは、きっと相当な努力を積んできたのだろう。
彼女は強い。
そんなことをふとした時に思い知らされる。


さ「Aはすごいね。」

「え？」


なにそれ、と笑っている。
うまくいくことを当たり前と思い、努力は結果に結びつくと信じて疑わなかった。
伸ばせる範囲にだけ手を伸ばしていた。
本当に欲しいものは頑として譲らなかった。
今もそう。

けれど、彼女はどれだけのものを手放して、諦めてきたのだろうか。
その全てを知りたいと言う気持ちも少し。
しかし、それより知ることで自分の浅はかさと、抱えきれない重圧に怯えて聞けなかった。

スッと、手が伸びて、小さな手が俺の頬を撫でる。


「さーくん？」


心配そうに覗かせるその顔は、自分より他人が傷つくことを恐れる表情。


さ「俺ちっせぇな。」

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