この運命は恋ですか？ 2【桃】

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A side

そういえば、にぃに来たところで、私これで帰っていいのかな？


「さとみさん、これ、借りて帰ってもいいですか？」

さ「あぁ…そっか…うん、いいよ。」

「ありがとうございます。」


お礼を言ったらすこしさとみさんの顔が赤くなってた。

にぃにが迎えにきたらバレるかな…。
身内に勘繰られるのって、気恥ずかしい。
でもヒートが来てしまった手前、1人で帰るのは流石に怖い。
さっきのを経験してしまったが故に余計。

続く沈黙。
恥ずかしさから話すことも出てこない。
沈黙を破ったのは、インターホンの音だった。
救われた。


さ「ころんかな。」


玄関に向かうさとみさんに、荷物を持って着いていく。
…腰痛。


こ「あれ？何でさとみくんのパーカー着てんの？」


…兄がバカで助かりました。
いや、もしかして気付いてるけど、なのかな。


「にぃに、頼んだやつ持ってきてくれた？」

こ「ん？あぁ、これ？」


にぃにからポーチを受け取る。
これを人に預けるつもりはなかったんだけどな。
でも、自分で使うのも怖いから…。


「にぃに、あっち行ってて。」

こ「ちょ、せっかく迎えにきたのに。」

「いーから！」


拗ねながら扉を閉めるにぃに。
ごめんね。

扉が閉まったのを確信して、さとみさんにポーチを押し付ける。


さ「え？」

「…これ、さとみさんが持っててください。」


受け取らないさとみさんに無理やり持たせる。


「お邪魔しました。」


ポーチをじっとみてるさとみさんが最後にチラリと見えた。


こ「終わった？」

「うん。ありがと。」

こ「辛くない？」

「大丈夫。」


何も言わずに荷物を持ってくれるにぃに。
辛くないか訊いてくるあたり、やっぱり本当は気付いてるんだろうな。


「にぃに。」

こ「ん？何？」

「…なんもない。」

こ「何それw」


にぃに、私ね、やっと受け入れたよ。
にぃにの心配事、一つ減らせるかもしれないよ。

ポーチの中身ー首輪の鍵を見たらさとみさん、私の意図に気付いてくれるかな。

私の覚悟はもう決めたから。

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