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こ「やめて!」


Aを守りたくて、殴ってでも近づけたくなくて声を出すが、想像以上のフェロモンの香りに、自分の体を支えるのに精いっぱいで、体が動かなかった。


な「ころちゃん大丈夫?」

り「ころちゃん、俺は大丈夫。」


莉犬くんは冷静に、Aのそばに近寄る。
莉犬くん自体、背丈はそんなに高くない。
それでも、女の子の中でも低い方のAにとって、莉犬くんはそれでも大きいようで、自分の体を必死に守るように蹲る。


「やだ…やめて…たすけて…にぃ…に。」

り「俺は大丈夫だよ。注射、使ったことある?」


そうやって言いながら、莉犬くんが自分のカバンから取り出したのは、Aが必ず持ち歩いている抑制剤の注射と同じだった。
強いヒート症状を起こした時に、内服より素早く、かつ無理やりヒートを抑える、言わば緊急時用の抑制剤だった。


こ「…莉犬くん…。」


今この場にいる、なーくんが、やっと何かを理解したようにあっ、と小さく声を漏らした。
おそらくなーくんはベータ。
じゃあ莉犬くんは?
見る限り、僕と同じスピードでフェロモンを感じ取っていた。
でも、取り乱す様子はない。
とはいえ、アルファのヒートはオメガに踊らされるそのものと聞いたことがある。
やけに冷静な莉犬くんが逆に怖く感じていたが、その注射…。


こ「…莉犬くん…オメガだったの…?」

り「…うん。」


莉犬くんは困ったように笑ってた。
バレちゃったか、とでも言うように。


「…な…いっ…。たすけて…こあい…っ!にぃに!」


治らない火照りに、息を切らしながら僕に助けを求める。
それでも体は動かない。
ごめん、こんな兄ちゃんでごめん。

Aが緊急時用に注射をきちんと携帯しているのは知っている。
けれども使ったことはなかったらしい。
ワクチンとかの注射も嫌いなAだ。
できるだけ、内服で済ませていたんだろう。
Aの場合、アルファの血も混じっているから、フェロモン自体はそんなに強くない…と思う。
僕の体感だけど。
後飲みでも、少し隔離すれば内服で治る程度。
注射は携帯していても、最早護身用レベルだ。

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作品ジャンル:恋愛
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夢花(プロフ) - フェロモン怖ぁ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル (2021年4月11日 23時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - りんさん» 確認ありがとうございます。私のわがままを押し付けるような形で申し訳ありません。ぜひ、ログインされました際にはご期待に添えていればなと願います。いただいたお時間無駄にしないよう少しでも楽しんでいただけたら幸いです。ありがとうございます。 (2021年4月11日 9時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 読ませて、いただきました。ご丁寧に有難うございます!ログインしてみようかなと考えています。他の作品も楽しみにしています!これからも、頑張ってください。m(_ _)m (2021年4月9日 1時) (レス) id: 8208016f57 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - まっちゃさん» お手数をおかけしてしまいまして申し訳ありません。私自身がまだあまりうらツクのシステムを理解しきれておりません故…。ページに入れた際には楽しんでいただけたら幸いです! (2021年4月8日 22時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!他作品まで読んでいただけて、とても嬉しいです。 続きページの件につきましては、コメントに収まり切らず、本ページ内でお話しさせていただいております。ご一読いただけますと幸いです。 (2021年4月8日 22時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年3月14日 22時

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