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Rinu side
コンコン、と部屋の扉をノックする。
返事はなかった。
自分がオメガ性で生まれたことを憎んだこともあった。
自分の存在そのものに劣等感を抱いていた。
そんな自分が必要とされているのだと実感ができたのが活動だった。
Aちゃんを見て、少し前の自分を見ているようだった。
運命に抗いたい。
決められたレールの上を歩き続けるなんてごめんだ。
劣等感を抱きながら、劣等者であることを否定し続けた。
オメガだから
そんな言葉は聞きたくなかった。
だから、他の人と同じように、あわよくば他の人より高く、そして1人の力で。
望んだところで立ち塞がる性の壁は毎回毎回俺たちの心を酷く壊していくんだ。
返事のない扉をガチャりと開けると、布団の上で身を隠すようにこちらを見ているAちゃんと目が合った。
俺の姿を見て、少し気が緩んだように布団がぱさりと音を立てて落ちた。
り「勝手に入ってきてごめんね。」
「…大丈夫です。…莉犬さんなら。」
り「そっか。」
怯えた目をしてるくせに。
きっと他のメンバーには分からない、普通に生きてるだけなのに、襲われるかもしれないという恐怖。
人間、歩いていて、隣の人に刺されるかも、襲われるかも、なんて思いながら生きてる人なんて居ない。
誰もが自分は大丈夫と思って生きている。
それなのに、なぜ俺たちは、人間という甘やかされた存在で生まれておきながら、その恐怖を持っていきなければいけないのか。
り「理不尽だなって思うよね。」
「え?」
り「だってそうじゃん。俺の周りなんてさ、オメガはともかく、アルファだって居なかった。圧倒的多数派のくせに…いや、多数派だからかな?俺を別人種としてみてくる周りが嫌いだった。」
Aちゃんは静かに俺の話を聞いていた。
り「でも、俺も知らなかったんだ。アルファの存在に初めて会った時、恐怖を感じた。勝てない、って思った。自分の身は自分で守るって、すごく難しい事なんだって思い知った。罪悪感のない襲撃って、真っ直ぐ過ぎて怖いんだよね。…それに、何よりそれを求めてしまった自分が怖かった。」
誰にも話してこなかった過去。
誰にも話さないと思っていた過去。
そんな自分が怖くて、欲望や快楽に溺れるのが嫌で巻くようになった首輪。
「…何が言いたいんですか?」
り「Aちゃんをその存在から守ってくれたのがころちゃんだったんでしょ?」
Aちゃんの目の色が変わった。
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夢花(プロフ) - フェロモン怖ぁ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル (2021年4月11日 23時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - りんさん» 確認ありがとうございます。私のわがままを押し付けるような形で申し訳ありません。ぜひ、ログインされました際にはご期待に添えていればなと願います。いただいたお時間無駄にしないよう少しでも楽しんでいただけたら幸いです。ありがとうございます。 (2021年4月11日 9時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 読ませて、いただきました。ご丁寧に有難うございます!ログインしてみようかなと考えています。他の作品も楽しみにしています!これからも、頑張ってください。m(_ _)m (2021年4月9日 1時) (レス) id: 8208016f57 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - まっちゃさん» お手数をおかけしてしまいまして申し訳ありません。私自身がまだあまりうらツクのシステムを理解しきれておりません故…。ページに入れた際には楽しんでいただけたら幸いです! (2021年4月8日 22時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!他作品まで読んでいただけて、とても嬉しいです。 続きページの件につきましては、コメントに収まり切らず、本ページ内でお話しさせていただいております。ご一読いただけますと幸いです。 (2021年4月8日 22時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年3月14日 22時