話したい8【桃】

174-2 ページ5

あっ、やばい。

れいらちゃんがいたから幾分かまだ表情がリラックスしていたけれど、れいらちゃんという盾がなくなって、Aの視界にはおそらく目の前にいる男だけ。
見えない顔が強張っているのがわかった。
助けに行かなきゃ。


さ「Aちゃんに何の用ですか？課題のことが終わったらこの後約束あるんで、先帰ってもいいですか？」


僕がいくより先に、さとみくんがAと男の間に入る。
びっくりした男は手を離し、散々Aと接してきたさとみくんは、さすがと言わんばかりにAを正面から抱き寄せ、優しくトントン、と背中を撫でた。
僕も近づいていったときに、やっと男の表情がみえた。
いかにもチャラそうにニヤニヤと笑っている。


「あれ？彼氏さん？じゃあれいらさんでもいいよ。一緒にカラオケ行こ。あっちに連れ待たせてるし。」


"でもいいよ"って何だよ。
男の発言にイラッとしたと同時に、Aの手を掴んでいたその手でれいらちゃんを掴もうとしたのがみえた。

ふざけんな。

掴まれるより先にれいらちゃんの腕を掴む。


こ「じゃ。僕たち帰るので。グループワークのことだったら明日にしてください。行くよ。」


そう言ってそのままれいらちゃんの手を引いて大学を出る。
イラついてたせいで早足になってたのか、大学を出て少し歩いたところで、パタパタと駆けてくるAとさとみくんの足音でハッとした。


こ「あっ、ごめん…痛かった…よね？」


れいらちゃんの腕も無意識に力を込めていたらしく、少し赤くなってしまっていた。
追いついたAがそんなれいらちゃんの腕を見て、僕の方に頬を膨らませて怒ってくる。


こ「だからごめんって！！」

さ「wwwwwwwれいらちゃんフリーズしてるからwwww」


さとみくんが大爆笑しながられいらちゃんの前で手をフリフリと振っている。


こ「れいらちゃん！？大丈夫！？怖かった！？それとも僕が…」


近づこうとしたら一歩後ろに下がって、さっきとは逆にAの後ろに隠れるれいらちゃん。


れいら「お金…払ってないのに…触れてしまった…。」

こ「…wwwwwwwまじで心配して損したわ。」

さ「通常運転wwwwwww」

174-3→←174-1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す