話したい8【桃】

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Colon side

大学の課題なのか、グループワークをしていて少し遅れるかも、と言ってたAから、あとは明日考えることになったから今から出る。と返事がきたのは、もう着くよ、と連絡を送って10分が経過していた。
グループワークはAが一番苦手としているものだ。
たまにグループワークが長引いて帰ってくると、大好きな料理すら作りたがらない時があるくらい。
大学にれいらちゃんというお友達ができてもそれは変わらず、ぐったりした顔で帰ってくるのが想像ついた。
迎えに来て正解だったかもしれない。


こ「今日このままどっか食べにいくか〜。」

さ「え？何？Aちゃん体調悪いの？」

こ「いや。でも多分相当疲れてると思…。」


話している途中で、べっとりとれいらちゃんに張り付いて、校舎から出てくるAが見えた。


こ「wwww」


門を入ってAたちに近づく。
嫌な顔せずAのわがままと甘えたに付き合ってくれるれいらちゃんはやっぱいい子だよね。


「Aちゃーん！れいらさーん！」


お疲れ、と声をかけようと思ったその時に、後ろから少しチャラそうな男がAたちに声をかけてきた。
まだ少し僕らは距離があって、Aたちは僕らに気付かないまま男の方を振り返る。
何か紙を取り出して話している最中に、Aはれいらちゃんの後ろに隠れる。
れいらちゃんが通訳のようにAの顔と男の顔を見ながら話を進めてくれていた。
少し邪魔かな、と思ってそのまま待っていたが、途中から男は一切紙に目を落とすことがなくなり、後ろに隠れているAを必死に覗き込もうとしていた。

あーあ、またか。

僕はそんなことを思っていたが、さとみくんは気が気じゃないらしく、隣で少しイラついてるのがわかった。
それでも、3人の会話は聞こえないから、それが課題で大事なことなのか、僕の想像していることなのかはわからない。


こ「さとみくん、やめてよ？」

さ「…わかってる。」


本当かな。
そんな僕らに気付かない男とAの間にうまく入ってくれていたれいらちゃんだったが、有ろうことか、男はそんなれいらちゃんの横をすり抜けて、必死にれいらちゃんにしがみついているAの手をとった。

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