話したい7【桃】

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A side

さ「Aちゃん！」


さとみくんに名前を呼ばれて、れいらちゃんと繋いでいた手をそのまま、さとみくんの元に走っていく。
引っ張られているれいらちゃんは、この状態も何度目かで、もう、って言いながらもついてきてくれる。


さ「はい、おかえり。」


さとみくんに抱き付けば、ぎゅーっと抱き返してくれる。

『お誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう。Aに出会ってくれてありがとう。』

今朝、朝一番でおめでとうって連絡を入れたけど、もう一度。
声が出せないから、目の前で文字で打ち込む。


さ「ありがとう。」


優しくふわっと笑うさとみくん。
さとみくんが生まれた特別な日。
そんな日に私と会ってくれる。
好きな人の特別な日を一緒に過ごせるってとても幸せだ。


さ「…れいらちゃん、驚かなくなったね。」

れいら「知ってたら驚きませんよ。覚悟してますから。」

さ「覚悟してるwwww」

れいら「では私はこれで。Aちゃん、また明日ね！」


バイバイ、と手を振るれいらちゃんに手をふり返す。


さ「知ってるのになんの言葉もないの？」

れいら「私は昨日のカウントダウン生放送でコメントしましたから。…Aちゃんをあんまりいじめないでくださいよ？」

さ「wwww」

れいら「何笑ってるんですか？」

さ「いや。昨日帰り際にころんに全く同じこと言われた。」


ころちゃんの名前が出た途端、顔が赤くなるれいらちゃん。
かわいいなぁ。


れいら「もう帰ります！」


逃げるように帰っていったれいらちゃんに、声の出せない私のさようならは届かない。
背中に向かって手を振るしかなかった。

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