話したい7【桃】

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こ「れいらちゃん！」


僕が呼びかければ足は止まるのに、やっぱり目は合わない。
その姿がなんともいじらしい。


こ「僕のために着てきてくれたんでしょ？似合ってて可愛い。」


予想通り顔を真っ赤にして、再び頭を下げて無言で去っていった。
やっぱり面白い子だなぁ。

それで、だ。


こ「A？」


もう一度名前を呼べば、今度はいつもより控えめに抱きついてきた。
全く、なんなんだ。
トントン、と背中を優しく撫でて抱きしめ返す。


こ「嫌なことあった？」


フルフルと首を横に振る。


こ「今日、楽しくなかった？」


フルフルと再び首を横に振った。

久々の感覚。
Aの考えていることが全くわからない。
こんな気持ち、小学生以来だ。
でもあの時と違う。
僕がわからないんじゃなくて、A自身、今の自分の感情が多分わからないのだろう。


こ「みんなのとこ行こっか？」


コクリと頷いて、そっと僕から離れる。
それでも、手は繋いだまま。
不安そうに僕を見上げる。
大丈夫だよ、って優しく笑って見せ、頭をポンポンと撫でた。

Aに何が起きたかわからない。
いいことなのか、悪いことなのかもわからない。
でも、みんなに会えば安心するだろう、そう軽く思ってしまっていたんだ。

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