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仕事がやっと終わった。
職場を出れば、朝日が眩しい。
夜勤終わりの眠たい体には中々のダメージだ。
車に乗り込んで、急いで帰宅を目指す。
まだころちゃんは寝ているだろうか。
夜勤のある仕事なので、家はできるだけ近くで選んだ。
それなのに、いつもより気持ちが急いてしまうのは何故か。
待っててくれる人がいる。
早く会いたい。
ほんの少しの日常とは違う"特別"がワクワクに変わっているからだろうか。
ガチャリと鍵を開けてできるだけそーっと扉を開ける。
寝ていたら申し訳ないからね。
リビングは案の定電気もついていなかった。
私のベッドの上で掛け布団を抱き枕のように引き寄せて寝ているころちゃん。
何だか恥ずかしい。
変な匂いとかしてないだろうか。
「おーい、ころんさーん。」
呼びかけてみるが、起きる気配は全くない。
「ふあぁ…なんだよ。つまんないの。」
本当はシャワーを浴びたいところだが、夜勤明け。
眠気が襲ってくる。
このまま寝てしまいたい。
ころちゃんの隣に横になる。
無防備に開かれた手に触れたくなるのを我慢した。
この手で触れてくれることはあっても、抱きしめてくれたり、手を握ってくれたり、そんなことは無い。
もう何年もこの状態。
期待することなんてとうの昔に諦めているはずなのに、自分にこんな女々しい気持ちがあるとは思わなかった。
それでも、こうして私を優先してくれたり、彼の仕事を思うと、特別に誰かのものになる訳では無いということに安心している。
私のものになってくれなくてもいい。
だけど、誰かのものになって欲しくない。
1つ歳を重ねたくせに、心の幅はまた1cmほど小さくなったようだ。
抱えきれない気持ちから目を背けるように眠りについた。
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唯凛(プロフ) - かかおさん» コメントありがとうございます!お返事遅くなりましてすみません。大好きなアイドルグループ…!?もしや同志様…!?どのグループだ!?と勝手に興奮しておりました。私の好きな曲・歌詞の世界観が少しでも伝わるように表現できていたら嬉しいです。 (2022年4月23日 22時) (レス) id: 00bd452271 (このIDを非表示/違反報告)
かかお - 初コメ失礼いたします。別作品からここへ飛んできたのですが、もう!!ほんとに!!大好きなアイドルグループの歌詞を題材にされた大好きな人たちの物語…最高すぎます!!さらに文章も素敵で…ほんとにほんとに、ありがとうございます!!最高です!! (2022年3月24日 5時) (レス) id: 162bd117a7 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - 雨歌さん» コメントありがとうございます。文章に含められなかったところを書いているところまで読んでいただけて嬉しいです!!色々詰め込みすぎて読みづらいかなーと不安になる時もあるので、文に込めた想いが伝わっていましたら幸いです。 (2021年6月16日 21時) (レス) id: 1df965d2ca (このIDを非表示/違反報告)
雨歌 - 唯凛さんの最後にかいてある言葉にめちゃくちゃ泣きそうになりました()文の書き方も上手いし、キュンキュンして最高でした! (2021年6月2日 16時) (レス) id: ed2ca2f433 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - みなさん» みなさんこんなところまでありがとうございます〜!!曲イメージで書くのが好きなのと、向こうの夢主ちゃんのキャラでは難しいものとか、思いついた時用に作ってしまいました〜(°▽°) 見ていただけてとっても嬉しいです〜!! (2021年1月2日 14時) (レス) id: b5bb78bb55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年1月2日 12時