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でも、私だって黙っているわけじゃない。
「嫌です。彼以外何もいりません。きっと、あなたに止められても、私はさとみくんに会いに行きます。何か悪いことをしましたか?恋愛ごっこだって思ってますか?貴方達と同じように、大人と同じように恋愛しただけじゃないですか。何かの罪になりますか?」
必死に溢れそうになった涙を堪えた。
視線は絶対に目の前の彼から目を離さなかった。
隣で彼が静かに座る。
きっと彼も何かに耐えているんだ。
「…でも、そうとしか考えれていない私が子どもだってことですよね。さとみくんと同じだけの覚悟を私が持ってない、そう言いたいんですよね。」
「そうだよ。さとみくんが君にどんな風に話したかは知らないけど、君が思ってる以上に、俺たちの仕事は"顧客"でできているんだ。お客様を裏切ることはできない。それがたとえ不条理でも。」
私の人生じゃん。
私の自由にさせてよ。
そんなことが通用しない相手を好きになってしまったんだ。
「…なーくんがなんと言おうと俺はAと別れないよ。」
私の手をギュッと握るさとみくん。
「リスナーさんにも言う。他のメンバーにももちろん。」
その手は少し震えていた。
さとみくんの背負ってるものの大きさを知った。
大きいと思ってたさとみくんの手。
でも、そんな大きな手でも抱え切れないほど大きなものを、期待を彼は背負っているんだ。
キラキラしている彼だけを見てきた。
優しくて、私のことを考えてくれて、でも仕事もしっかりやって、リスナーさんのことをとても考えている彼しか。
それがどれだけ大変なことだったか。
自分をどれだけ犠牲にしてきたのか。
果たして私にそんな彼を支えられるのか。
でも、彼と一緒にいたい。
そばに居たいだけ。
それじゃダメなの?
「…だめかもしれない。あなたにとっても大切なさとみくんを、私がだめにしてしまうかもしれない。それでも…それでも私はこの先ずっとさとみくんと居たいです。私は私の気持ちに嘘をつけません。彼がずっと好き。この先も。」
大丈夫。
私は大丈夫ってさとみくんの手を握り返す。
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唯凛(プロフ) - かかおさん» コメントありがとうございます!お返事遅くなりましてすみません。大好きなアイドルグループ…!?もしや同志様…!?どのグループだ!?と勝手に興奮しておりました。私の好きな曲・歌詞の世界観が少しでも伝わるように表現できていたら嬉しいです。 (2022年4月23日 22時) (レス) id: 00bd452271 (このIDを非表示/違反報告)
かかお - 初コメ失礼いたします。別作品からここへ飛んできたのですが、もう!!ほんとに!!大好きなアイドルグループの歌詞を題材にされた大好きな人たちの物語…最高すぎます!!さらに文章も素敵で…ほんとにほんとに、ありがとうございます!!最高です!! (2022年3月24日 5時) (レス) id: 162bd117a7 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - 雨歌さん» コメントありがとうございます。文章に含められなかったところを書いているところまで読んでいただけて嬉しいです!!色々詰め込みすぎて読みづらいかなーと不安になる時もあるので、文に込めた想いが伝わっていましたら幸いです。 (2021年6月16日 21時) (レス) id: 1df965d2ca (このIDを非表示/違反報告)
雨歌 - 唯凛さんの最後にかいてある言葉にめちゃくちゃ泣きそうになりました()文の書き方も上手いし、キュンキュンして最高でした! (2021年6月2日 16時) (レス) id: ed2ca2f433 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - みなさん» みなさんこんなところまでありがとうございます〜!!曲イメージで書くのが好きなのと、向こうの夢主ちゃんのキャラでは難しいものとか、思いついた時用に作ってしまいました〜(°▽°) 見ていただけてとっても嬉しいです〜!! (2021年1月2日 14時) (レス) id: b5bb78bb55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年1月2日 12時