検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:52,863 hit

ページ25

「ごめんだけど、さとみくんとは別れてくれないかな。」


彼氏に、仲間に紹介したい、と言われて連れてこられた先で言われた。


「はぁ!?なーくん何言ってんの?」


隣にいる彼の怒りに任せた低い声が響く。
私は驚きで何もできなかった。
初対面の人に、挨拶もそこそこに彼と別れろと言われたのだから。

でも、どこか冷静な自分もいた。
どこかでわかっていたのかもしれない。
そう言われることを。


「意地悪で言ってるんじゃないよ。さとみくんだけじゃない。彼女が傷つくことになる。さとみくん一人の行動で、たくさんの人が傷つく。そう言う仕事をしてるんだよ俺らは。」

「…ふざけんな。俺は認めて欲しいと思って…」

「さとみくん!!」


ガタリと大きい音を立てて今にも殴りかかりそうな彼を必死で止める。

言われてから考えてる私も浅はかだったのかもしれない。
好きな人と両思いになって、浮かれてた。
漫画やドラマみたいに、誰もが祝福してくれる。
もしそうじゃなくても、さとみくんと一緒なら大丈夫、そう思っていた。
でも、目の前のこの人の瞳をみて、一瞬でも揺らいでしまった自分がいる。


「…Aはいいのかよ。そんな程度なのかよ。俺はお前と一緒がいいって…!!」

「…違うよ。好きだよ。全部捨てて、何もかも無くなっても、さとみくんさえ居れば、って…!」


でも違うんでしょ?
目の前の彼が言ってることはそう言うことではない。
言わんとしていることはわかる。
この先きっと私だって、彼だって傷つく。
私たちだけじゃない。
今ここにいない、メンバーの人たちにまで迷惑をかけて傷つけることになる。
そして何より、彼を信じて応援してくれてる人を傷つけることになる。
他にももっともっとたくさん、迷惑をかけることになるんだ。

それが理解できるほど大人じゃない私が、恋愛ごっこなんてするな、ってことだ。

ー→←(ー)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
139人がお気に入り
設定タグ:stxxx , 短編
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

唯凛(プロフ) - かかおさん» コメントありがとうございます!お返事遅くなりましてすみません。大好きなアイドルグループ…!?もしや同志様…!?どのグループだ!?と勝手に興奮しておりました。私の好きな曲・歌詞の世界観が少しでも伝わるように表現できていたら嬉しいです。 (2022年4月23日 22時) (レス) id: 00bd452271 (このIDを非表示/違反報告)
かかお - 初コメ失礼いたします。別作品からここへ飛んできたのですが、もう!!ほんとに!!大好きなアイドルグループの歌詞を題材にされた大好きな人たちの物語…最高すぎます!!さらに文章も素敵で…ほんとにほんとに、ありがとうございます!!最高です!! (2022年3月24日 5時) (レス) id: 162bd117a7 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - 雨歌さん» コメントありがとうございます。文章に含められなかったところを書いているところまで読んでいただけて嬉しいです!!色々詰め込みすぎて読みづらいかなーと不安になる時もあるので、文に込めた想いが伝わっていましたら幸いです。 (2021年6月16日 21時) (レス) id: 1df965d2ca (このIDを非表示/違反報告)
雨歌 - 唯凛さんの最後にかいてある言葉にめちゃくちゃ泣きそうになりました()文の書き方も上手いし、キュンキュンして最高でした! (2021年6月2日 16時) (レス) id: ed2ca2f433 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - みなさん» みなさんこんなところまでありがとうございます〜!!曲イメージで書くのが好きなのと、向こうの夢主ちゃんのキャラでは難しいものとか、思いついた時用に作ってしまいました〜(°▽°) 見ていただけてとっても嬉しいです〜!! (2021年1月2日 14時) (レス) id: b5bb78bb55 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:唯凛 | 作成日時:2021年1月2日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。