短編集【stxxx】

ー ページ21

仕事で怒られた。
最近毎日怒られる。
何をしても怒られる。
しなくても怒られる。
昨日やらなくて言われた事を今日やったら怒られる。
もうどうしていいのかわからない。

逃げたくない。
辞めたくない。
弱い人間になるのが怖い。

でも、もう逃げたい。
辞めたい。
消えてしまいたい。

家に着いた瞬間から涙が止まらなかった。
1人の部屋で、自分の嗚咽と啜り泣く音だけ聞こえる。
もう何もかも嫌だ。
こんな弱い自分が嫌だ。

こんな苦しい思いしてる人、世の中にたくさんいる。
つらい、辞めたい、って思いながら仕事をしてる人なんてたくさんいる。
私だってそのうちのたった1人だ。
なのに、さも自分だけ苦しいように泣いて、辞めたいって甘えてる自分に嫌悪する。

それでも苦しくて、辛くて、辞めたくて、消えたくて。
どうしていいかわからなかった。

時刻は23:00をとうに過ぎている。
日付が変わる手前だ。
こんな時間に誰に電話しても迷惑だ。
それでも、もう狂った私には、誰かに何かを言ってもらわなきゃ、聞いてもらわなきゃ、ただ自分で選べる「死」の恐怖が襲ってくるだけだった。
怖い。助けて。
死にたくない。
死にたい。

震える手でさとみくんに連絡する。

助けて。


プルルルル プルルルル


「んー…もしもし？」


眠そうではないが、疲れてるような声。
私以外に頑張って生きている人がいるのを実感させられた。
恥ずかしい。
こんな弱い自分。
さらに自己嫌悪に陥るが、すでに泣いてる私は止まる事を知らない。


「…A？」


嗚咽が止まらなくて、何も話せない。
急に夜中に電話がかかってきて、出てみたら啜り泣く声が聞こえるなんて、さとみくんからしたら迷惑電話同等だ。


「…A、どうしたの？」


それでも優しい声をかけてくれる。
泣き続ける私をじっと待っててくれるさとみくん。


「…もうわかんないっ。なんもっ…わかんないっ…！」

ー→←桃(注意書き)

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