短編集【stxxx】

黄 ページ14

「好きです。付き合ってください。」


今月もう3回目。
名前も知らない人からの告白。
ネクタイの色的に後輩くんかな。


「ごめんなさい。私、君のこと知らないし…。でも、好きになってくれてありがとう。」


決まり文句のようなセリフを、少し困ったように眉を下げて伝える。
きちんと目を見て伝えれば、悲しそうな顔をした彼も、聞いてくれてありがとうございました、と去っていく。
告白って勇気いるもんね。
わかるよ、その気持ち、私にも。


告白された場所からもみえる図書室。
見るだけでも嫌になる分厚い本を読んでいる幼馴染ーるぅと。
私の好きな人。
私はこんなにも見つめてるのに、るぅちゃんはこっちに気付いてくれない。

こっちに気付いてよ。
振り向いて。

願いも虚しく、彼の視線は本からそらされることはない。


教室からカバンをとって、図書室に向かう。
本は嫌いだけど、るぅちゃんが図書室にいることが多いからよく通ってる。


「Aちゃん、今日も来たんだ。相変わらず可愛いね。」


図書委員の先輩。
なんかちょっと怖い。
いつも声をかけてくるんだけど、チャラいしニヤニヤしててなんか怖い。
頭だけ下げてるぅちゃんのところに向かう。

本に集中してるのか、全然気付いてくれない。
ねぇ、私に興味無いの？
るぅちゃんの前に座って、突っ伏すような体制で下からるぅちゃんを覗き込む。
メガネの下、まつげ長いなぁ…。
るぅちゃんは目立たないように生きてるからみんな気付かないけど、メガネとったらきっとモテちゃうんだろうな。
そんなかっこいいるぅちゃんはきっと、私しか知らない。
そのままでいて。
私以外の誰かのものになっちゃ嫌なの。

上目遣いでそのままじーっと見つめるけど、気づく素振りもみせてこない。
もー！いじわるしないでよ！
るぅちゃんのことだから、多分途中から私に気付いて無視してる。
私が前に座った時点で、本当は気づいてるんでしょ？

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