話したい3【桃】

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A side

初めて飲んだビールはすごく苦かった。
でも、なんだか不思議な味で、初めて口にしたから興味本位でもう一口のんだ。

うん。やっぱり苦い。

さとみくんは笑ってるけど、なんでそんなにゴクゴクとビールが飲めるのか分からない。

次にはい、って渡されたお酒は甘くて美味しかった。
ジュースみたいで、でもジュースにほんのり香るアルコールが、ジュースのくどさを和らげていた。

新しい味に出会うのは楽しい。
わくわくする。
どんな味付けが合うのか、どんな食材がいいのか、考えるだけで楽しい。
お酒もそんな感じだと思った。
お酒の味を知ったからこそ、ビールに合う味、酎ハイに合う味、色々想像するのが楽しい。

だから、いろんなものが飲んでみたくて、ころちゃんのグラスをじーっと見つめた。

ころちゃんは最初はビールを飲んでいたのに、もうグラスの中は別のお酒だ。


こ「気になる？」


って聞かれたから頷く。


こ「甘くないよ？あんまり。」


それでも気になるから、頷いてじーっとみつめる。
諦めたようにリンゴジュースが入ってた私のコップを持って立ち上がるころちゃん。
後ろをついて行ったら、瓶に入った茶色いお酒と、コーラを、氷のたっぷり入ったコップに入れていく。


こ「はい。まずこっち飲んでみな？」


残してもどうせころちゃんが飲んでくれるし、と思って一口くちにする。
あまり味がわからない。
コーラの味しかしない。
若干苦味があるけど、それがお酒の味だと思う。
これならコーラでいいや、と思う。


こ「あんまり分からない？」


うん、って頷いてころちゃんのグラスを奪った。


こ「あっ」


ツーンと鼻に抜ける香り。
苦味というより、鼻に抜ける感じが独特で驚く。


こ「すごい顔wwww」

さ「どんな味だった？美味しい？不味い？」

こ「美味しくはないけど興味はあるって感じ？」


不味くはない。
けど、まだこの美味しさはよく分からないかな。
首を傾げると笑われた。


こ「これハイボール。つってもお店とかで飲んだらもう少し飲みやすいかもね。ちょっと濃いめに作っちゃったし。」


ハイボールってことは、あのツーンとした独特な香りはウイスキーってことか。
大人だぁ…。

なんだかころちゃんが大人に見える。

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