親代りがゆごじぇな件について

# ページ22

「ここが、ジャニーズ事務所……！」



優吾さんから送られてきた住所にチャリを走らせて、やっとのことでたどり着いた



よくもまあ方向音痴を一人で向かわせようとしたわ



近くの駐輪場にチャリを置いて、事務所の入り口に向かう



え、これ入れてもらえます？



めんどくさいファンだと思われない？



オシャレしたら疑われると思ってテキトーなパーカーで来たけど大丈夫？ダサすぎて入れてもらえない節ない？



どうしようかと入り口付近を彷徨いていると、警備員さんが近づいてきた



やっべぇ完全に不審者だと思われてら



「あの、どうかいたしましたか？」



「え、えっと、忘れ物を届けに……



あ、高地優吾さんのです



わ、私は親戚の高地Aというものです」



……武士が名乗ったみたいになっちまったぜ



「ああ、Aさんですね。



どうぞ、お入りください」



おお！無事入れた！



事前に優吾さんが話しておいてくれたんだろうな



……それなら事務所前で待ってて欲しかった



で、入ったはいいものの



どこに居るん？優吾さん




「どうしたん？お嬢さん」



「うわぁ！」



入り口できょろきょろ右往左往していると、後ろからいきなり関西弁混じりの声をかけられた



どっどっと音を立てる心臓を抑えながら後ろを振り返る



「し、重岡大毅！？



……さん」



「さん、って無理に付け加えた感あるなぁ」



へへっと歯を見せてへらへら笑うこの人は、westの重岡さん



そっか、事務所だから他のグループの人も当然いるわけで



……このクソ雑コーデで推しに会いたくねぇ！



「えーと、お嬢さんどうしたの？



さっきからここできょろきょろしとるから」



…ばれてら



「忘れ物を届けに来たんですけど、」



「あーね？誰の？」



「優吾さ、高地優吾さんのやつです」



一応さっきラインに連絡入れたけど、既読すらつかねぇ



「ん、ちょっと待っとって」



重岡さんはそういうと受付？みたいなとこで一言二言話してから、こっちに戻ってきた



「いまSixTONES外で雑誌の取材中やって



もうすぐ戻ってくるらしいけど、どうする？」



うーむ、どうしよう



このまま事務所に一人で居てもアレだし、でももう一回入る勇気も……



「んう……どうしよ」



「あ、じゃあさ



俺一緒待とうか？一人じゃ、心細いやろ？」



「へ、いいんですか？」



「おん、もちろん」



や、優しい……！

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