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「ねえ、北斗」
「ん。なに？」
くるりと振り返って、後ろ向きに歩く彼を、真っ直ぐには見れなかった
「俺が北斗を起こそうとしなかったのは優しさでも何でも無くて
……俺を置いていった北斗への、ただの嫌がらせなんだよ」
彼に感謝される筋合いなんて、ハナから無かった
「俺がもう少し早くどうにかしようとしていたら、北斗は苦しまずに済んだかもしれない
だから……」
恨んでいいのに
そんな言葉は、彼にほっぺと一緒に摘まれた
「うそつけ」
摘まれたほっぺから漏れた息が、蝉の声が木霊する夏に溶けていった
「どうせ俺がパニック起こすのが見てられなかっただけでしょ？
……京本はさ、優しいから」
違う
違うんだよ北斗
俺はそんなお人好しじゃない
自分勝手な気持ちだけで、アンタを苦しませたんだよ
「京本、俺ね、慎太郎の夢を叶えたかった
SixTONESとしての夢も、慎太郎個人の夢も
だから俺は、彼になりたかった」
その気持ちは、俺にもよくわかった
かれのゆめをかなえたかった
「だからさ京本、一緒に生きよう
俺と、京本と、こーちと、ジェシーで
それでさ、ふたりの夢を叶えよう
ふたりが、ファンの、世界中の人たちから、忘れられる前に」
彼の左手が差し出された
涙で視界を歪めながら、その手を取った
蝉の声は、もう聞こえなかった
「ねえ北斗。病院の前に植えてあったローレルの花言葉、思い出したわ」
「え、なによ」
俺は悪戯っ子のように笑って、映画のワンシーンのように格好つけて言った
彼は、今の俺らにぴったりだと、目を細めて笑った
ローレルの花言葉
『死すとも変わらず』
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rarai0821(プロフ) - こんなに感動する作品久々に読みました。これからも頑張ってください!! (2023年4月27日 23時) (
レス) @page17 id: 17c89b6bef (このIDを非表示/違反報告)
あかさ(プロフ) - おもしろいです！こんなストーリー初めてな氣がします。最高に楽しくて続きが知りたいです。 (2022年10月16日 21時) (レス) @page7 id: 5c2ac0054a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕里 | 作成日時：2022年10月4日 23時
