10 待ち望んだ再開 ページ10
「は…」
ピタリと動きを止めた正面の人。眼鏡の奥の柔らかな輪郭を持つ紅の瞳に、季節外れの赤マフラー。
「A…？」
…間違い無い。この二年間ずっと、記憶の中でしか再生される事の無かった大好きな声。驚愕の色を浮かべるその人に、私は無意識のうちに駆け寄って抱きついた。
『兄ちゃん…！！』
tn「うわっ！？」
反射で声を上げながらも、一昨年ぶりに再開した兄は力強く私を抱き止めてくれる。懐かしい、落ち着く匂い。意図せず私の目からは温かい水が零れ落ちる。
『なんっ、で？兄ちゃん、今までどこに…？』
tn「こっちの台詞やわ！何でお前こんなとこに居んねん…」
『うるさいばか！ずっとずっと、捜してたんだからな！？突然居なくなって、もう二年も経ったんだから…！』
泣きじゃくりながらぽかすかその広い胸を叩く。兄はちょっと黙ってから、申し訳無さそうに呟いた。
tn「…ごめんなぁ」
そうしてぎゅっと私を抱く腕に力を込める兄。すると、それまで呆気に取られてぽかんと口を開けていた赤ニット帽のお兄さんが大声を出した。
???「トントンが兄って…あーー！！もしかしなくてもAちゃんか！？」
『はぇ？』
このお兄さん、何で私の事知ってるんだろう。兄の腕の中で首を傾げれば、兄は困ったように肩を竦める。
tn「憶えとらんか？よくうちに遊びに来とったやろ？シャオ兄やで」
『…え！？』
sha「やっぱAちゃんやんな？暫く見んうちに別嬪さんになったなぁ！その制服って事は、俺らと同じ高校入ったんやな？Aちゃん賢いから余裕やったんちゃう？」
ペラペラと親戚のおじさんかのごとく話し掛けてくるシャオ兄。思い出した、小さい頃から良く家族ぐるみでお付き合いしていた一家のお兄さんだ。兄と同い年の筈だから、私より5つ上。
『シャオ兄、久し振り。シャオ兄こそすっかりイケメンのお兄さんだね』
sha「えーほんま？惚れた？」
『ううん』
sha「そこは嘘でも褒めてや」
わざとらしく落ち込むシャオ兄に、ゾムさんが蹴りを入れる。
zm「折角俺が知らないフリしとったんに、お前だけ思い出してもらっとるん狡いやろ」
rb「いやほんまに」
『？』
不思議な顔がれば、兄がため息をついて私の頭を撫でた。
tn「お前らは時たま見掛けるくらいやったやろ…」
涙も忘れてクスクス笑い合っていると、騒ぎを聞き付けてか奥からぞろぞろと人が出てくる。
「トン氏、何かあったのか？」
またもや聞き慣れた声に、私は顔を上げた。
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ねこ娘(プロフ) - 初めまして！本当にマイクラの世界で生活してるみたいでドキドキしちゃいました！マイクラの世界って何も知らずに入り込んでしまったらこんな感じなんだろうな、、すごい新鮮で読んでて楽しかったです！tnのお兄ちゃん感もめっちゃ好きでした笑完結お疲れ様でした！ (2021年2月2日 20時) (
レス) id: 5a39984025 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好きなお話だったので、完結が少し寂しく思ったりもします…次のお話、楽しみにしてます！ (2021年2月2日 9時) (レス) id: 1755ed01f2 (このIDを非表示/違反報告)
都築(プロフ) - 失礼します。完結おめでとうございます!!とても面白かったです!!新作楽しみにしてます。 (2021年1月31日 23時) (レス) id: e5f03274fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - Aliceさん» 解りづらい表現だった事をお詫びします。本文に説明を付け足させていただきます…！ (2021年1月31日 15時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - Aliceさん» ご指摘ありがとうございます！私の記憶が正しければ、倫理用語として使う時には「りんねてんしょう」と読むのが正しかったかと思います。どちらの読みも有り得る言葉ですが、宗教的な話がしたかったのであえて「てんしょう」をチョイスさせていただきました。 (2021年1月31日 15時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年1月19日 18時
