6 基地へ ページ6
zm「__!A、起きてや」
『うぇっ!?あ、はいおはようございます』
ゾムさんに揺り起こされてベッドから滑り落ちるようにして出る。ここに時計という概念があるかは怪しいが、今は何時位なのだろうか。
zm「まだお天道様が昇り始めたばっかやけど、もう行くで。おもろいモン見せたるから」
『分かりました』
ゾムさんがベッドを叩くと、壊れるのではなくポコンッと音を立てて小さくなり宙に浮いた。
『何これ…すご』
zm「初めて見るとビックリするやろ?俺もそうやってん」
ギザ歯を見せて笑うゾムさんに頷き、隣で体を丸めて寝ている仔牛に声を掛ける。
『ほら、行くってよ。お前もお家帰りたいでしょ?』
〔ん…朝?〕
『らしいね』
〔行く!お兄ちゃんたちのとこかえる!〕
『よし』
その頭をひと撫でして、階段状の通路をゾムさんに続いて上る。
zm「見てみ。スケルトンが燃えとるやろ?」
指差された方を見れば、弓矢を持ったガイコツが陽の光に当てられて燃えていた。
『あ、あれホラーマンじゃなかったんですね』
zm「ドキンちゃんの下僕とちゃうわ。あんな感じでな、夜に湧くモンスターは日光が当たると燃えて死ぬねん」
『成る程』
アンパンマンの話に乗ってくれるのか。そんな風に思っていると、横を歩いていたゾムさんが不意に立ち止まった。
『…?どうしたんですか』
一瞬だけ、どこか遠くを視るような寂しげな色を纏った瞳になったゾムさんは、すぐに我に返るように頭を振って微笑んだ。
zm「すまん。何でも無いわ」
そう言ったゾムさんは西の方を指し示し、私の手を取る。
zm「俺らの拠点が向こうにあるんや。…どうせお前、行く当てとか無いやろ?少なくともここに慣れるまでは俺らの所で過ごしや。連れてったるから」
『…ありがとう、ございます』
握られた手の感触にふと懐かしさを感じたのは、何故だろうか。
〔お姉ちゃんも、おうちくるのー?〕
嬉しそうに鼻先で背中をつつく仔牛にそうだと答え、ゾムさんに導かれて暫く歩いた。
zm「この山越えたらすぐそこやねん」
『は、はい…』
太陽がすっかり高くなって来た頃、鳴るお腹を押さえながら急斜面を登る。頂点まで行って見えたのは、まるで軍事要塞のような建築だった。
『……こんな野原のど真ん中に?』
zm「んふ、浮いとるよな」
『まあ、はい』
zm「ええねん、あれが俺ららしくて」
『…成る程』
ニイッと笑ってそう言ったゾムさんに微笑み、仔牛に急かされて斜面を下った。
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ねこ娘(プロフ) - 初めまして!本当にマイクラの世界で生活してるみたいでドキドキしちゃいました!マイクラの世界って何も知らずに入り込んでしまったらこんな感じなんだろうな、、すごい新鮮で読んでて楽しかったです!tnのお兄ちゃん感もめっちゃ好きでした笑完結お疲れ様でした! (2021年2月2日 20時) (レス) id: 5a39984025 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても好きなお話だったので、完結が少し寂しく思ったりもします…次のお話、楽しみにしてます! (2021年2月2日 9時) (レス) id: 1755ed01f2 (このIDを非表示/違反報告)
都築(プロフ) - 失礼します。完結おめでとうございます!!とても面白かったです!!新作楽しみにしてます。 (2021年1月31日 23時) (レス) id: e5f03274fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - Aliceさん» 解りづらい表現だった事をお詫びします。本文に説明を付け足させていただきます…! (2021年1月31日 15時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - Aliceさん» ご指摘ありがとうございます!私の記憶が正しければ、倫理用語として使う時には「りんねてんしょう」と読むのが正しかったかと思います。どちらの読みも有り得る言葉ですが、宗教的な話がしたかったのであえて「てんしょう」をチョイスさせていただきました。 (2021年1月31日 15時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうり | 作成日時:2021年1月19日 18時