4 転生者 ページ4
???「…知らへんの？」
『え？はい。と言うか、お兄さんは私が制服で草原に突っ立ってても不審がらないんですね』
こう…もっと、「何だお前！」とか「曲者じゃ！出逢え！！」みたいなノリだと思ってたんですけど。そう言えば、お兄さんはプッと吹き出して笑った。
???「ッヒヒww俺らがそんなんする訳無いやんか」
おもろいなと言って肩を揺らすお兄さん。そんな変な事を言っただろうか。若干憤慨しながらも、お兄さんに訊く。
『あの、ここどういう場所なんですか？』
お兄さんはちょっと驚いたように黙ってから、そっと私をしゃがませて囁いた。
???「ま、まずは安全な所に入ってからにしよか。今は夜や、ボケボケしとったらまた襲われるで」
『ﾋｴｯ』
あの腐乱臭散布野郎とは、もう二度とお近づきになりたくない。私が大人しく無言で頷くのを見ると、お兄さんはポケットに持っていた剣を突っ込んで何かをまさぐり出した。…ポッケご臨終では？
〔お兄ちゃんたち、いつもポケットにいっぱい物いれてるの〕
仔牛がそう鳴いた時、お兄さんがパッと手を出す。そこに握られていたのは、大きなピッケルだった。
『え…ドラえ◯ん？』
思わず呟くと、お兄さんは足で土を掘りながら笑う。
???「その響きも懐かしいなぁ」
『懐かしいって…お兄さんも日本からここに？』
物凄いスピードで石を砕き始めたお兄さんは、階段状に4マスほど下ると今度は横に掘り広げ、手早く正方形の石室を作った。
???「まあ入れや、朝までここで過ごすで」
ポッケから次は松明を取り出したお兄さんが、壁に掲げて石室を明るくする。仔牛が嬉しそうに駆け寄って行くのに合わせて、私も石室に入ってお兄さんの正面に座った。
???「この世界には、たまに地球の現世から人が降って来んねん。きっとお前もその一人やな」
お兄さんは不意にそう話し出した。
『はぁ…怪しまないんですか？』
???「まあまあ、人の話は最後まで聞け。お前、どうも動物と会話出来るみたいやんか？あんな、現世から落っこちて来る奴には、一人につきひとつ、異能が授けられんねん」
い、異能…。随分と現実離れした言葉だ。首を捻ると、お兄さんは続ける。
???「かく言う俺もその異能持ちや。けど、俺は地球では一回も死んどらん筈やねんな」
『…つまりお兄さんも転生者、と？』
???「そうなるな」
へぇ、妙な所に飛ばされたものだ。しかも、要らん能力まで付けてくれちゃってさ。
『うーん…私は死んだ筈なんですけどねぇ』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 700人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねこ娘(プロフ) - 初めまして！本当にマイクラの世界で生活してるみたいでドキドキしちゃいました！マイクラの世界って何も知らずに入り込んでしまったらこんな感じなんだろうな、、すごい新鮮で読んでて楽しかったです！tnのお兄ちゃん感もめっちゃ好きでした笑完結お疲れ様でした！ (2021年2月2日 20時) (
レス) id: 5a39984025 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好きなお話だったので、完結が少し寂しく思ったりもします…次のお話、楽しみにしてます！ (2021年2月2日 9時) (レス) id: 1755ed01f2 (このIDを非表示/違反報告)
都築(プロフ) - 失礼します。完結おめでとうございます!!とても面白かったです!!新作楽しみにしてます。 (2021年1月31日 23時) (レス) id: e5f03274fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - Aliceさん» 解りづらい表現だった事をお詫びします。本文に説明を付け足させていただきます…！ (2021年1月31日 15時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - Aliceさん» ご指摘ありがとうございます！私の記憶が正しければ、倫理用語として使う時には「りんねてんしょう」と読むのが正しかったかと思います。どちらの読みも有り得る言葉ですが、宗教的な話がしたかったのであえて「てんしょう」をチョイスさせていただきました。 (2021年1月31日 15時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年1月19日 18時
