1 知らない場所 ページ1
『……どこだ、ここ』
目を覚ましたら、知らない場所にいた。何かないかと見渡すも、見えるのは生い茂った木々ばかり。
『…ふむ』
頭に手を当てて考える。私はさっき学校の屋上から落ちたのでは無かったか。いや、正確には"落とされた"になるのだが。
〔
『うわっ！？何！？』
突如背後からくぐもった声がして、飛び上がりそうな程驚いて振り向く。そこにいたのは、茶色と白の斑な仔牛だった。
『びっくりさせんなよ…』
〔ごめんなさい。だって、ふしぎな匂いがしたから〕
仔牛はモーモー鳴いて私に話し掛けてくる。………ん？
『はぁぁぁあっ！？』
何で私、野生(？)の仔牛とさも当然のように会話しようとしてるんだ。あまりの事に仰天し過ぎた私は、制服のスカートだと言うのに座ったまま大股を開いて尻で後退る。
〔！…きみ、ぼくの声がきこえるの？〕
キラキラと潤んだ瞳でこちらを見つめてくる仔牛。どう反応するのが正解なんだ。
『いや、聞こえるも何も…鳴いてるだけかと思ったら、普通に喋れるんだね』
何だこれは。悪夢か？もしかしたら、屋上から墜落したという出来事すら夢の中の話だったのかも知れない。そう思って頬を思いっきりつねるも、帰ってきたのはそれ相応の痛みだけだった。
『いっっっった！！』
思わず叫んで地面の上を転がるも、木の根が背中に当たってかえって痛いだけだった。痛覚が正常ということは、これは紛れもなく現実に起こっている事なのだと言える。深いため息をついていると、仔牛が心配そうにそろそろと近付いて来た。
〔だいじょうぶ？けがした？〕
『まあ自己責任だから気にしないで』
…と言うか、こいつ野生の子ならこんなに人に慣れていて平気なのだろうか。いつ捕獲されてもおかしくないと思うのだが。
『お前こそ何で私に近寄って来たんだ？危ない人間だったらどうするのさ』
制服に着いた土を払いながら立ち上がり、仔牛を見下ろして尋ねる。
〔ふしぎな匂いがしたの〕
さっきも言ってたな、それ。…もしかして臭い？風呂は毎日ちゃんと入ってるよ！？
『…そんな変な臭いするかな』
くんくんと自分のブラウスを嗅ぐが、特に何も解らない。仔牛は首を横に振った。
〔ちがう。いい匂い〕
『ならいいや』
〔ね、ついてきて〕
ところでここはどこなんだ。流されるままに仔牛と歩き出した私は、物陰から見られているなんて露程も思っちゃいなかった。
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ねこ娘(プロフ) - 初めまして！本当にマイクラの世界で生活してるみたいでドキドキしちゃいました！マイクラの世界って何も知らずに入り込んでしまったらこんな感じなんだろうな、、すごい新鮮で読んでて楽しかったです！tnのお兄ちゃん感もめっちゃ好きでした笑完結お疲れ様でした！ (2021年2月2日 20時) (
レス) id: 5a39984025 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好きなお話だったので、完結が少し寂しく思ったりもします…次のお話、楽しみにしてます！ (2021年2月2日 9時) (レス) id: 1755ed01f2 (このIDを非表示/違反報告)
都築(プロフ) - 失礼します。完結おめでとうございます!!とても面白かったです!!新作楽しみにしてます。 (2021年1月31日 23時) (レス) id: e5f03274fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - Aliceさん» 解りづらい表現だった事をお詫びします。本文に説明を付け足させていただきます…！ (2021年1月31日 15時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - Aliceさん» ご指摘ありがとうございます！私の記憶が正しければ、倫理用語として使う時には「りんねてんしょう」と読むのが正しかったかと思います。どちらの読みも有り得る言葉ですが、宗教的な話がしたかったのであえて「てんしょう」をチョイスさせていただきました。 (2021年1月31日 15時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年1月19日 18時
