31. 隠し事 (エマ目線) ページ37
「A…！！」
名前が倒れた。倒れたのは五歳の時以来だ。
「ワタシが医務室に運んでおくわ。皆心配しないで。」
と泣き喚くちびっこ達を落ち着かせるシスタークローネ。
Aは医務室に運ばれたけど、ママ達は私達を一歩も部屋に入れて貰えなかった。
三人で話し合った結果、脱獄は10日後。
予定よりも早い気がする。
「エマ、何か言いたい事、あるんでしょ？」
考え込んでいたら、ノーマンが私の顔を覗いてきた。その様子をレイも黙って見ている。
……、言ったほうが良いのかな…。
シスターが言っていたAに関する秘密……。
「ううん。ドンたちにある程度説得しないとね。」
……、言えない。言いたくない…。
「……、あっそ。俺はAが起きてるか見に行くわ。」
「私も行くよ！！」
「僕は先に図書室で待ってる。大人数で押し寄せたらママに入れて貰えないだろうから。」
……………
「で、…話があるんだろ。エマ。」
レイは私が何も言わなくても、直ぐに悟ってくれる。
「レイ…、聞きたい事があるの。」
急に真剣な顔をするレイ。周りに人がいないか確認してレイに話を進める。
「…、ハウスに病弱な子供がいた場合は、結果的にどうなるの？」
「…即出荷か、処分。だろ？」
「例え、スコアが良くても？」
いくら狙いが私達の脳だとしても、
病弱な身体ならきっと質は落ちるはず。
「…、わざわざノーマンを除いて話あったのは、もしかしてAの事か？」
本来はノーマンに言っても良かった。けど…彼なら即Aを疑うだろう…。
私は……、Aを疑いたくない…。
レイなら…、Aを好いているレイなら…。
「…………なんでもない。ただこんな大変な時期に倒れて、ママたちに厳重に監視されたらって思うと怖くなって…。」
何故か彼に言ってはいけないような気がした。
「一理あるな。ノーマンが予定より脱獄の時間を早めるって言うなら尚更。それにあいつが倒れたのはあの頃以来だ。
でもまぁ心配しなくとも、
お前ら双子なんだろ？
正反対だろうが、身体の作りが違かろうが、
諦めの悪さは同じだからな。
……心配するな、エマ。」
「……！」
するとふわりレイの手が私の頭を優しく撫でた。意外な行動に思わず黙り込む。
「…じ、じゃあ、私図書室に行ってくる…！！」
恥ずかしくなって、その場を去ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 307人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ありす - 続きが気になりますー！最年長全員が片思いしていてとてもキュンキュンしました！これからも頑張ってください！ (2019年6月2日 15時) (
レス) id: f32f67d3c0 (このIDを非表示/違反報告)
まろまろ - 頑張ってくーだーさい！！ (2019年4月6日 13時) (レス) id: b9e42e7531 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅう - 凄く面白いです！最後に誰が誰と結ばれるのか気になります！これからも頑張ってください！ (2019年3月21日 23時) (レス) id: 74012f0d95 (このIDを非表示/違反報告)
minori0405(プロフ) - とても面白いです！次の更新が待ちきれないです！頑張ってください (2019年3月19日 2時) (レス) id: 9169d3c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
音海 永愛(プロフ) - 面白いです！でも所々に誤字脱字が……。ゆういつ、優位→唯一。助詞がないのが気になります。上からですみません。 (2019年3月2日 8時) (レス) id: a04e929a54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綾葉メグ | 作成日時：2019年1月29日 0時
