16 ページ17
.
肌寒い潮風が頬を撫でる。
月明かりが綺麗な夜、鮮やかな黄色の船体を隠すように空からは雪が降ってきた。
次の目的地は冬島。島が近づくにつれ気温は下がり、海水の温度も急激に下がるため、船は海面に顔を出していた。
『キャプテン。コーヒーでもどうです？』
今日の船番はロー。刀の横に腕を組みながら静かな外を見る。
読書をして時間を潰そうにも雪が降ってきてきては、本が濡れてしまうからと何もせずただ平和な海の上を見ていた。
そこに湯気が立つマグカップを両手に持ってきたA。
断る理由もなかったので、手を差し出せばコーヒーの入ったマグカップを渡した後に、隣に座って彼女もコーヒーをちびちび飲み始めた。
「...こんな時間まで起きてるのか」
『目が覚めたというか...まぁ慣れてるんで気にしないでください』
「夜更かしとは感心しないな」
じーっとAの目を見るロー。
連日遅くまで起きていることをローは知っていた。うっすら目の下に隈ができていることを指摘するように指す視線を向けていた。
『いやキャプテンの目の隈もひどいですけどね！？』
「...俺はいいんだよ」
『わがままボーイすぎだなっ！でも無理はだめだって！寒くなってきたし、少し中で休めって私が見てるから。私雪好きだしほーら私半袖でも平気だしっ』
「鼻水垂らしてるやつの説得力なんてねぇ！！」
つなぎのチャックを開け、半袖なのを見せつけるAだったが、思いのほか寒く大きなくしゃみが出た。
それでも強気に出るAにローは怒りながらティッシュを投げつけた。
『もぉ〜ツンデレなんだからっ』
「違う！！風邪引いてもらったらこっちが困るって言ってんだ。大人しく寝とけ！ただでさえ弱ぇんだてめぇは。医者の言うことは素直に聞け」
『医者の言うことはききたくない派だから...それに私風邪そうそう引かないし、キャプテン倒れた方が大変でしょ』
ローから視線を外すように月を見ながら、コーヒーをすするA。
“医者”という単語が出るとあからさまにしかめっつらになる。それが気になって聞いてみるが、別にとだけ返された。
「...はぁ別にどうでもいいが、最近てめぇは働き過ぎだ」
『推しの為に働くのは本望...ここの人たちはみんな推しなんだ推し事してないと私は死ぬ病だから』
「...じゃあ休め。医者としてじゃねぇ俺が言ってんだ...これがてめぇの仕事だ」
『...えっ尊過ぎて死ぬ』
「なんでそうなる」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 511人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆりあ(プロフ) - 錫也さん» コメントありがとうございます！返信が遅くなって申し訳ありません！心臓を抜かれたことにいつ気付くのか(笑)憂鬱な気分が晴れたのならとても嬉しいです！亀更新になるとは思いますが、更新頑張ります！ (6月11日 21時) (
レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
錫也(プロフ) - 迷子剣士と一緒にいる時に心臓握られて「いっったい！は！？心臓抜かれてるんだけど！？」とかキレ散らかしてるの想像して爆笑してますありがとう。憂鬱な気分が晴れました… (5月19日 23時) (レス) @page19 id: 046abef528 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - るらるさん» コメントありがとうございます！ドストライクと言って頂けるなんて...!!狂った夢主を好きだと言って頂けて嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年11月3日 9時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
るらる - 初コメ失礼いたします。破茶滅茶に面白い小説ですごく…なんというか…どストライクです。（）夢主の性格がもう好き←これからも頑張ってください。お体にお気をつけて。 (2022年10月31日 22時) (レス) @page15 id: 83cc784ea6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - さなさん» コメントありがとうございます！これからのオタク夢主との絡みをお楽しみに！面白いと思ってもらえてうれしいです！更新頑張ります！ (2022年10月25日 0時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆりあ | 作成日時：2022年10月23日 12時
