【ONE PIECE】FILM WHITE

記録 はじめまして歌姫 ページ46

.




「どわぁあああ！！あ、赤ん坊がいるっ！？」



記録 １０月１日。 はじめまして歌姫。






Aが赤髪海賊団の船に乗ってから数か月の時が流れたある日の事。
晴天の青空を映す海の上。敵船から巻きあげた宝の中から、聞こえるはずもない音がした。


宝箱から姿を表したのは、赤と白の髪色を持った赤ん坊だった。




「お、お頭あんたって人はいつの間にガキなんか作って...」


「ルウ！これは違うんだ！！」


「赤と白ねぇ...ふーん。おめぇら実はそういう...」


「...そうだったのかA...せ、責任は取る！」


『おめぇとのガキなんて作った覚えねぇよ！』




想定外の赤ん坊の登場に、赤髪海賊団の誰もが驚きを隠せないでいた。
シャンクスたちの騒ぎ声がうるさかったのか、赤ちゃんの泣き声は大きくなる。慌ててシャンクスがあやそうと抱っこするも泣き止む気配もなく、億越えの賞金首でさえ歯が立たなかった。

男所帯の船の上、赤ん坊の世話などしたことがない奴ばかりで、子持ちであるヤソップに助けを求めるが、子供ができてすぐに海に出たヤソップもほとんど知識など無かった。


「俺に言われても...そうだ腹が減ってるんじゃねーか？」


「そうか...!赤ん坊って何食うんだ？肉とかはだめだよな...ミルクとか...か」



無い知識を無理矢理かき集め、赤ん坊はミルクを飲むという結論に落ち着いた。
そして、ミルク...つまりは母乳を与えることができるのは、この船唯一の女であるAに視線が集まる。



「...っだめだ。Aの胸は絶壁だ...そこがまたいいが。ベックまだお前の方がある！」


「お頭、Aはああ見えて人並みだ。控えめだが形がいい...」


『...てめぇら後で殺す。子供の前でそんな話すんな...貸せ！』




平常心を失っているのかこれが平常なのか、どちらにせよ頼りない男共に冷たい目を向けた後、シャンクスの腕から赤ん坊を奪い、慣れた手つきであやし始めるA。
その様子を見て、誰もが口をあんぐりと開く。あんなに男勝りだった口の悪い奴が、育児の知識があると知らなかった。



『...こいつにはミルクはいらない。歯も何本か生えてるし、大きさ的にも１，2歳だろう。言葉が少ないのはどうにかなる...飯は一応やわらかめのものを。はちみつと生ものは念のため避けろ』



適切な指示にもたつきながらも皆動き出す。
優し気な、母親の様な表情を向けるAに、シャンクスは不思議な気持ちになった。

.→←記録 薔薇の花言葉

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す