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『はぁーーーーーどうしよう。これ』
白地の布に、青と紫の紫陽花が淡くはかなげに咲いている。
青に灰色が混ざったようなモダンなデザインの帯が、締め色になってその紫陽花がさらに引き立っていた。涼し気にまとめられた色使いが綺麗だった...。
隆から貰った浴衣を見て今日何度目かもわからないため息をこぼす。
その理由は数時間前、隆の学校の手芸部のマネキンになっていたところから始まる。
数時間前、案の定手芸部の女子部員に数着着せられてぐったりしていた時、隆が今日はこれで最後でいいとコレをもってきたのが始まりだった。今日俺は特攻服だけで良いと私を置いて、奥の方で作業していたはずなのに結局お前もかよと思ったけどそれはぐっと飲みこんで、これで最後なら別にいいやと深く考えずに了承した。
『なにこれ...えっ浴衣？私着方知らねぇよ』
「俺が着つけてやる。和装作ったのは初めてだから上手くいくかはわかんねぇけど」
洋服メインで制作することが多い手芸部で浴衣を渡されたのは初めてで、それ以前に浴衣を実際に着ることが初めてで。
右も左も分からないので、とりあえず下着になって隆にすべて任せたと言えば、うっすとだけ言って真剣に、きれいに着付けてくれた。初めのころは、下着姿に少しは恥ずかしがった隆だが、今はなにも反応しない。慣れたというよりは、服を作る立場で私と向き合っているからだろう。
「よっしできた...」
『お、おぉ...なんか私じゃ勿体ないな』
できたといって私も全身鏡を見ると、自分でもびっくりするくらい綺麗だった。
浴衣ってこんなに綺麗なものなのかと。馬子にも衣装だななんて、思っていたら、隆にデコピンされた。だから痛いって。
「勿体ないなんて言うな似合ってんじゃねーか」
『えなに隆君は私が好きなの？』
「友達としてだけど。あとマネキンとしても」
『一言余計だ』
「これやるよ」
『えでも着る機会が』
「今度の夏祭り...行くんだろ？」
そういえばこの間、エマに浴衣着て一緒に行こうってせがまれたっけ...。ドラケンと武道達もいるからって。それ私邪魔では？と思って浴衣無いからって断ったんだけどなぁ...。
いったい隆はどこまで知ってるんだろうか...。
絶対に着ろよ。という隆の言葉に背中を押されたのか、脅されたのか...。
私はほんの少しだけ希望を持って“やっぱり祭り行くよ”とエマにメールした。
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ゆりあ(プロフ) - はいじさん» コメントありがとうございます！終わり方結構悩んだのでそう言ってもらえると嬉しいです！新作の方もぜひよろしくお願いします！ (2021年8月29日 16時) (
レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
はいじ - 完結おめでとうございます！少し寂しいけどめちゃめちゃいい終わり方でした...!新作も応援してます！ (2021年8月29日 16時) (レス) id: 9db9b51c86 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - マクドさん» コメントありがとうございます！泣いてもらえるなんて...嬉しくて涙が。他キャラの作品もぼちぼち作る予定ですのでよろしくお願いします！ (2021年8月29日 15時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
マクド - めっちゃ泣きました！好きすぎる！他キャラクターとの作品も待ってます(土下座) (2021年8月29日 15時) (レス) id: accf718d90 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 夜野ちいさん» 完結までお付き合いいただきありがとうございます！感動してもらえるなんて..嬉しい限りです！本当にありがとうございます！！ (2021年8月27日 23時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆりあ | 作成日時：2021年7月23日 15時
