俺のゼファー【龍宮寺堅】

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「俺は佐野 万次郎。マイキーって呼んで。こっちはケンちん俺のダチ」


「ケンちんって呼ぶな！...俺は龍宮寺 堅。ドラケンって呼べよ」


『雨宮 A...』




あの後盛大にずっこけた私は、あっけなく2人に捕まった。
結局家までは結構あって、雨もひどくなる一方だったから近くに合った公園の遊具の中で雨宿り。敵意はなさそうだし、別に悪いやつらでもないのだろうが、一刻も早くこの場から離れたいことに変わりはない。



「にしても盛大に転んだなっアハハハハ！」


「蛙が潰された時みてぇな声だったもんなっ...やっぱお前おもしれぇよひーっ！腹痛ぇー」


『お前らなぁあ！！』



べちょべちょの上着を絞っていたら、それを見ていたのか私を見て思い出し笑いをする彼ら。
前言撤回。こいつら全然いい奴ではない。人の不幸が美味しい系のやつらだ。笑う2人をにらんでみるが、全く効いていないようなので反抗するのもばかばかしくなってきた。







「二小の裏番は雨の日に本性を表すって本当だったんだな」


『...別にたまたまだよ。勝手にうわさが流れてるだけ』




苗字に雨の字が入ってるからか、私が雨女だからかは知らない。どっかの誰かが適当に言い始めたことが噂になって、私を怒らせると雨が降る。雨が降ったら本性が出るなんて言われるようになった。
もちろん気候なんて操れないし、ケンカだって毎日やってるわけじゃない。勝手に雨と結び付けないでほしい。おかげで苗字で呼ばれるのが嫌になった。





『雨は嫌い...。名前も苗字では呼ばないであんまいい気分じゃないから』



「俺は嫌いでもねぇけどな...A」


「そうだ。この雨のおかげで俺たちはお前と会えたんだラッキーじゃん」



なんでそんなことを言うんだろう。
2人は相も変わらず楽しそうに笑ってるものだから、つられて私も笑ってしまう。

転んだ姿を見られたのは恥ずかしいし、全身びしょ濡れで気持ち悪いしもうなにもかもどうでもよくなった。ただ少し、少しだけ今日の雨は嫌いじゃない。




「今日から友達なA」


「よろしくA」




差し出された手のひらを素直に受け入れたら、不思議と雨はやんでいた。


あの日、私に友達ができた。

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