俺のゼファー【龍宮寺堅】

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『あー生き返るありがとうエマ〜』


「よかった喜んでくれて。やっぱ頭使うと甘いもの欲しくなるって本当だったんだね」




受験まであと数日。最後の追い打ちをかけてたが、ついに全然集中できなくなった。やる気がないというわけではないが、脳が働かない。文章が頭にまるで入ってこなくなった。

そんな時、エマからバレンタインのチョコ練習したんだけど今持ってってもいい？というメールがきて至急求むと返信した。本当にベストタイミング。おまけに、勉強頑張ってるだろうからって私の好きなクッキーまで焼いてきてくれた。これはいい嫁になる。

今日は勉強を一時休憩し、エネルギー補給をすることにする。



『そういえばもうバレンタインか...エマはドラケンにあげんの？』


「えっ...み、みんなにもあげるよ！もちろんドラケンもだけど...Aこそどうなの！」


『絶対受け取るって。めちゃ美味しいし...私は、今年受験だからパス。ってかバレンタインとかあげたことない。食べる専門だからね』


男と間違われるくらいだ。どちらかというと貰う側。
一度東卍のみんなに作ったことはあるが渡す前に恥ずかしすぎて全部食べた。真一郎君にバレて、口封じで1つだけチョコをあげたらめっちゃ喜んでたのは秘密である。

エマはというと、料理自体得意なので、チョコのクオリティーもかなり高い。
見た目も綺麗で、めちゃくちゃ美味しい。これは気合が入っているのだろう。


ドラケンのこと思って作ってんだろうななんて、少し照れてるエマを見ながら思った。




「...毎年貰ってはくれるけどさ...うまいしか言ってくれないもん。やっぱうちもけんか強かったらよかったのにな...Aには世界一の相棒って言ってるじゃん...ちょっと嫉妬しちゃった」



私はエマみたいに料理上手で可愛い子になりたかったよ...なんて言葉を飲み込んで、拗ねた顔をしたエマの頭を撫でてやる。


『...あいつが言うのは友達としてって意味だよ。私もそれに関してはそう思ってるから許して』



“友達として”っていうのがどれだけ苦しいか、お前は知らないだろうな。



「う、うちの方がAと仲良しだもん！...心狭いのかな...どっちにも嫉妬してんじゃん」


『..っハハ忙しい奴だな』



それでも、お前らの幸せを願ってしまう。私も大概だ。




「A好きな人いないの？」


『うーん...』


「好きな人できたら教えてね！応援するから！」


応援する...か。

私はエマを応援するよ。

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