俺のゼファー【龍宮寺堅】

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白のブラウスに花柄のロングスカート。少し高さのあるヒールに、シンプルなブレスレット。髪とメイクはやっぱりうまくできなくて、エマがやってくれた。

デート当日私は、今までで一番おしゃれをして出かけた。



「さっきのジェットコースター死ぬほど怖かったね...!あ、もう少しで広場でパレードだからここでお昼買ってこうか」



ハロウィンムードの遊園地は、いつも以上に賑わいを見せていた。ジェットコースターにコーヒーカップ、お化け屋敷...2人で手を繋いで色んなアトラクションに乗った。慣れない私を高橋君はエスコートしてくれた。どこからどう見ても私たちはカップルだろう。



今日は上手く笑えているだろうか...昨日みたいに不細工な笑い方はしていないだろうか...そう思って、高橋君に聞いてみたら、彼はドラケンの時とは違って笑顔を向けてくれた。



「さっきも言ったけど、今日は一段と可愛いよ。やっぱり女の子なんだなぁって。Aちゃんやっと俺にこんな笑顔向けてくれるようになったんだもん...笑顔が一番の化粧っていうけど本当だったんだね。ほら見てさっき撮った写真滅茶苦茶かわいい」



『あ、ありがと...』



「やっぱりAちゃん、あいつらとつるんでたのがダメだったんだって。喧嘩してなにがあるんだって思わない？そんなの思春期のかっこつけってだけでかっこよくないのにね」




今朝、揃いも揃ってみんなから“行ってくる”ってメールが来た。
たかが喧嘩...でもみんなにとって色んな思いを背負った喧嘩。不良の時代を作りたいっていう馬鹿でかっこいいそんな夢を背負った喧嘩。



そんなあいつらがかっこ悪いって？




出店の列に並んでいる間、彼と沢山撮った写真を見たら、思いのほか不細工で笑ってしまう。
誰だこんな嘘くさい笑みを浮かべてるやつは...。こんなの私じゃない。




『...ごめん高橋君。私もっと面白れぇパレード見に行く予定があるから行くわ』


「えっちょっと待ってパレードなら一緒に」


『なに言ってんだ？おめぇの嫌いな喧嘩だよ喧嘩』


「喧嘩って...あんな奴らほっとけよ！」




昨夜、ドラケンの顔が忘れられなくて、東卍のことばっか考えてたら全然寝れなかった。私はなにしてるんだろって...。
変わるために東卍を犠牲にするのかって。何のために変わりたかったのかって。







『お前のおかげで目が覚めたよ。私が大好きなのはあいつらだ』





アイツらが笑わないと意味がない。

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