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「遅ぇ...」
6時を少し過ぎてしまった校門前にまた見覚えのあるバイクが止まっている。
図書室での勉強帰り、この時間になるとたまたま通ったと言ってドラケンが家まで送ってくれるのは、もう珍しいことではなくなった。熱で倒れてからドラケンは少々過保護になった気がする。私も私でこの行為に甘えてしまっているが。
9月と言えど、まだ暑さは残っている。渡されたヘルメットを蒸れて暑いからと断って、ドラケンの後ろに跨った。
『ごめん遅くなった...ちょっと色々あって』
「...また告白でもされたか?」
『...っ...いやまぁ...そうなんだけど...見てた?』
「さっき、泣きそうな顔して走ってく女子いたからなんとなく」
夏休み明け、圭介達とあんな話をしていたからか告白されることが多くなった。
それも男女おかまいなくのモテ期状態で、正直こんな好意を寄せられることに慣れていなくて困っている。断ることも心苦しいし...。
こんなことバレたら、いじられるか、脅されるかに決まっているので、あいつらには隠していたつもりだったが、ドラケンにはバレているようだ。
『...他のやつらには言った?』
「言ってねぇよ。マイキーのやつも知らねぇんじゃねーか?あいつ給食の時間くらいしか学校にいねぇーし」
『ははっ...。ドラケンは?その口ぶりからして何回か見てる?』
「お前を探してる時に何回か。めっちゃお前きょどってたから笑いそうになった」
『お前なぁ...悪趣味すぎる。観覧料払えよ』
「まぁでも悪いことしたとは思ってるぜ。こんな奴にでも真剣に告白してっとこ見ちまったからな」
『私に対しての罪悪感がなさすぎるんだよ』
腹が立ったからバイクの操縦で手がふさがってるドラケンの背中にパンチしておいた。後で覚えてろよと言われたけど、今のはお前が100%悪いだろう。倍にして返してやるよ。
「んで、お前は律儀に全部断ってんのかよ」
『まぁ...好きでもねぇしな』
「お前に恋心なんてあったんだな」
『うるせぇ...じゃあ私に彼氏ができてもいいんだな』
勢い任せに言ってしまった。
私が恋人を作らないのは...誰のせいだと思っているんだ。
少しできてしまった無言の時間が長く感じる。告白でもないのになんでこんなに緊張しているんだろう。
「...いいんじゃねーの。お前が決めることだろ」
あぁお前は私に恋人ができてもいいんだな...なんて。
ドキドキなってた心臓が静かになっていくのを感じた。
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ゆりあ(プロフ) - はいじさん» コメントありがとうございます!終わり方結構悩んだのでそう言ってもらえると嬉しいです!新作の方もぜひよろしくお願いします! (2021年8月29日 16時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
はいじ - 完結おめでとうございます!少し寂しいけどめちゃめちゃいい終わり方でした...!新作も応援してます! (2021年8月29日 16時) (レス) id: 9db9b51c86 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - マクドさん» コメントありがとうございます!泣いてもらえるなんて...嬉しくて涙が。他キャラの作品もぼちぼち作る予定ですのでよろしくお願いします! (2021年8月29日 15時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
マクド - めっちゃ泣きました!好きすぎる!他キャラクターとの作品も待ってます(土下座) (2021年8月29日 15時) (レス) id: accf718d90 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 夜野ちいさん» 完結までお付き合いいただきありがとうございます!感動してもらえるなんて..嬉しい限りです!本当にありがとうございます!! (2021年8月27日 23時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりあ | 作成日時:2021年7月23日 15時