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『..っ...』
「色気づきやがって。こんな長い髪下げてんのがわりぃんだよ!」
1つにまとめてあった髪がまさかこんなところで負い目になるなんて。
1人に髪と手首を押さえつけられ、もう1人で首元に短刀をあてらえる。
反抗すれば、犬の手綱のように無理矢理引かれた髪が痛い。首元にある短刀が首をかすめて薄っすら血がにじむのが分かった。
情けない。自分で買った喧嘩でこんなみっともない姿を見せるなんて...。
いっそのことみんな笑って欲しい。そんな辛そうな、悲しそうな顔をしないでくれ。
雨と汗でずぶ濡れになった服も、熱で上手く動かない身体も、女として見てほしくて伸ばした長い長い髪も...
なにもかもが重たくて。重たくて。
『はっ...こんな重てぇもの切ってやる』
脚で私を掴んでる男の体制を崩して、その隙に短刀を奪った。
少し強引だったからか、刃が首に擦れて首に真っ赤な線ができてしまったが、仕方ない。
その血が付いた刃が後方に向くように持ち直して、腕を振り上げる。
「ちょっ...Aさん!!」
「Aっ!!やめろ!!!」
ドラケンと武道は何かを察したようにやめろと言ったが、それはもう遅かった。
次の瞬間身体が軽くなった。
「A...」
『なぁに2人とも。私がこいつを殺すとでも思った?...汚さねぇよ私の手。こんな奴らのために。ドラケンがそう言ったじゃん』
「..お前..髪が...」
『ま、丁度いいかなって暑いし邪魔だし...。でも、これでお前に貰ったゴム必要なくなっちゃった』
私の足元には、長い毛束と私を抑え込んでいた2人の男が倒れている。
男どもは、私の拳が良いところに入ったからか、気絶しているだけ。それを見て他のやつらも日和っている。なめんなよ。私も東卍背負ってる1人なんだ。
でも、あの時ドラケンが私の名を呼んでいなかったら、この刃から流れる血は私のものじゃなかっただろう。
ありがとう。私を止めてくれて。
短刀を持つ手が少し震えていた。
私は、人殺しになるところだった。
そう思ったら、なんだか緊張が解けて身体に力が入らなくなった。
視界がぐにゃりと曲がり始める。
またゆっくりとゆっくりとみんなの声が遠くなっていく。
最後に見たのはドラケンが私の名を呼ぶ姿だった。
その姿に妙に安心したのを覚えている___。
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ゆりあ(プロフ) - はいじさん» コメントありがとうございます!終わり方結構悩んだのでそう言ってもらえると嬉しいです!新作の方もぜひよろしくお願いします! (2021年8月29日 16時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
はいじ - 完結おめでとうございます!少し寂しいけどめちゃめちゃいい終わり方でした...!新作も応援してます! (2021年8月29日 16時) (レス) id: 9db9b51c86 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - マクドさん» コメントありがとうございます!泣いてもらえるなんて...嬉しくて涙が。他キャラの作品もぼちぼち作る予定ですのでよろしくお願いします! (2021年8月29日 15時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
マクド - めっちゃ泣きました!好きすぎる!他キャラクターとの作品も待ってます(土下座) (2021年8月29日 15時) (レス) id: accf718d90 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 夜野ちいさん» 完結までお付き合いいただきありがとうございます!感動してもらえるなんて..嬉しい限りです!本当にありがとうございます!! (2021年8月27日 23時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりあ | 作成日時:2021年7月23日 15時