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□ タオル ページ6

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「ただいまー、」

「おかえり!」

「翔平、ごめん、タオル取ってくれる?」

「ん?うん、」




1日オフだった俺と、1日用があった彼女。
そんな1日で会えない時間が長く感じて、
さみしさを感じていた。

ただいま、を言ってから聞こえない足音を
不思議に思いながら
タオルを持って玄関へ向かうと、
そこには水を被ったようにびしょ濡れなA。




「え!」

「ごめんね、傘忘れちゃって、」

「連絡してよ、迎え行ったのに、」

「天下の翔平さんにはそんな事させられないし、」

「天下なのはいいけど彼氏なんだから、」




きっと、Aの事だから、
迷惑がかかる、だとか
注目を浴びてしまう、とか考えたんだろう。

守らなくちゃいけないのは俺の方なのに、
守られてしまっているんだな、と思う。




「ちゃんと頼ってほしいんだけど、」

「んー、ごめんね、」

「ごめんじゃなくて、わかったは?」

「……わかった」



もう1枚、タオルを持ってきた方がいいな、と
タオルを取りに行き、戻ってみると
Aは、寒そうにくしゃみを1つ。

風邪引かないといいな、と思いながら
タオルでAの髪をわしゃわしゃと拭く。




「わ!……自分でやるよ?」

「いいのいいの、」




力の強さにも気をつけながら順調に拭くと
水飛んじゃうねぇ、なんて
他人事みたいに笑うA。

誰かさんが傘を忘れるからね、と答えれば
ははっ、ごめん、ともう一度笑った。

ある程度乾いたかな、とタオルを外すと
無造作に乱れた髪の毛に
ほんのちょっと赤いAの頬。




「熱ある?」

「ん?ないと思うよ?」

「うわ〜、不安しかないんだけど」




滅多に風邪引かないし!と強がる彼女に、
それはバカだからだよ、と笑いながら返せば
バカにバカって言われたくないって睨んでくる。



「はいはい、あ、ココア飲む?」

「…………飲む、」

「…ははっ笑」




好物のココアを話題にすれば
ちゃんと答えるAを
ほんっとに可愛いやつだなぁと思った。






(はい、そのままお風呂入りなよ、)
(あ、うん)
(……なんなら一緒に入る?)
(なっ、入るわけないでしょ!!)




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作者名:侑里 | 作成日時:2018年4月1日 11時

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