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私も小さい頃、よくお兄ちゃんに髪を乾かしてもらってたその時間が大好きだった。
当時を思い出して、なんだか懐かしくなった。
「これからどうするの？」
「…わかんないです」
「まだ、思い出せない？」
「…はい」
「…そっかあ」
どこに住んでいたのか、何をしていたのか、名前も年齢すらも分からなくなってしまった彼は、その状況が少し不安なのか表情は暗かった。
昼下がりの土曜日。
今日が休みの日で本当に良かった。
「優しい人に助けて貰えて嬉しいです」
「いやいやそんな…」
「あの、良かったら、」
「ん？」
「…名前、教えて貰えませんか」
少し躊躇いながら、恥ずかしそうに彼がそう言うからそれが可笑しくなってふふっと笑うと。
彼もつられて笑っていた。
「Aっていいます」
「…A、さん」
「Aでいいよ。今25歳だから、多分…だけどきみより歳上だと思うよ」
「A。…可愛い名前です」
「……」
しまった。またこの笑顔だ。
不意にこうやってにこにこされると、変にどきどきしちゃうから本当にやめてほしい。
というか、こんな簡単に名前なんて教えちゃって果たして大丈夫なのだろうか。
本当に記憶喪失かどうかも分からないし、もしかしたらこの人私のストーカーっていう可能性も…。
「ヌナ、」
「……えっ」
「呼んでみただけです」
ストーカー？
べ、別に悪くないじゃん？
だってこんなに可愛くてイケメンで、訳ありなのは置いといて接した感じは好青年だし…。
ほんと、芸能人みたいに綺麗な顔してる。
「これ以上お世話になるのもいけないので、そろそろ出ようと思います」
「お世話なんて、」
「この服、しばらく借りていいですか？」
「ああうん、むしろあげるよ？」
…どうせ別れた元彼のだし。
「ヌナ、」
「は、はい」
彼は私の手を両手でぎゅっと握って。
「自分のことは忘れちゃったけど、ヌナの事は一生忘れないと思います」
「…へ、」
「命の恩人ですから」
慣れないヌナ呼びにきゅんとしつつも、ありがとうございますと深々頭を下げる彼を見て思った。
このまま外に出たら、肉食動物たち(おい)の餌食にされちゃうんじゃないかって。
またやってくる、おせっかい病のせい。
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ゆ - ウロボロスに似てますね、、 (2020年4月27日 1時) (
レス) id: ec2b78254f (このIDを非表示/違反報告)
ミツ(プロフ) - NAKOさん» ありがとうございます！とても励みになります。長々と続きますがこれからもお付き合いください。 (2020年2月2日 7時) (レス) id: 6ad776dd96 (このIDを非表示/違反報告)
ミツ(プロフ) - はるかさん» アイドルではないんです、ごめんなさい(＞人＜;) (2020年2月2日 7時) (レス) id: 6ad776dd96 (このIDを非表示/違反報告)
NAKO(プロフ) - こちらの作品を読んでいるとすごく心が動かされます楽しみに更新待っています。 (2020年1月25日 6時) (レス) id: 945b78ea37 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - アイドル設定ではないんですね。 (2020年1月21日 2時) (レス) id: bcff119160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミツ | 作成日時：2020年1月12日 21時
