【26】 ページ26
.
今日はいろいろありすぎて、とても疲れた。
おかげで犯人が逮捕されたのは、不幸中の幸いだったけれど精神的なダメージが大きい。
事情聴取も終わり、警察署を出た。
時計は10時を回っている。
さすがにグクも心配してるだろうと不安になって、早く帰りたいところだけど体が重くて。
署の駐車場の通りかかった時、声を掛けられた。
「送るよ」
そこに居たのは、さっきの若い警官だった。
もう退勤時間だったのか、制服ではなくなっていて黒い細身のスーツを着ていた。
「…いや、大丈夫です」
「一人で帰したら俺が怒られるから」
「……」
「乗って」
さっきの事が頭から離れなくて、躊躇した。
だけど家までの道を一人で歩くのも怖くて、渋々車の助手席に乗ると彼は運転席に乗った。
本当に綺麗な顔をしてる。
思わず見入ってしまっていると、そんな私に気が付いて何？と首を傾げる仕草をした。
「助けてくれて…ありがとうございました」
「お礼なんていいよ」
グクとはまた少し違った、整った顔立ち。
私がシートベルトをつけたのを確認すると、エンジンをかけてゆっくりと車が進む。
私も彼も、何も話さなくて。
しばらく無言の時間が続いた。
「名前、Aって言うんだね」
「…え、なんで知ってるんですか？」
「事情聴取されてる間、ちょっと調べた」
「ああ、そう言う事…」
「俺も同じ25だよ。同い年」
「…はあ」
それから、彼はよく話した。
いつの間にか私のことを調べていた彼は、私の名前と年齢を知っていた。
「変なこと聞いていい？」
赤信号で車が停止した時、彼がそう切り出した。
こっちを向くから目が合って。
少し笑っているようにも見えた。
「結婚は？」
「…………え？」
「結婚してる？」
「なん、何ですか、急に」
「嫌だったら答えなくていいよ」
「…？ して、ませんけど」
「え、ほんと？」
「…はい」
「じゃあ彼氏は？」
「…あの、さっきから一体、」
本当に変なことを聞く彼。
やっぱり、この人警官っぽくない…。
送るついでにナンパしてる？
話し方もなんか軽そうだし…。
彼に対して、疑心の渦が広がっていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆ - ウロボロスに似てますね、、 (2020年4月27日 1時) (
レス) id: ec2b78254f (このIDを非表示/違反報告)
ミツ(プロフ) - NAKOさん» ありがとうございます！とても励みになります。長々と続きますがこれからもお付き合いください。 (2020年2月2日 7時) (レス) id: 6ad776dd96 (このIDを非表示/違反報告)
ミツ(プロフ) - はるかさん» アイドルではないんです、ごめんなさい(＞人＜;) (2020年2月2日 7時) (レス) id: 6ad776dd96 (このIDを非表示/違反報告)
NAKO(プロフ) - こちらの作品を読んでいるとすごく心が動かされます楽しみに更新待っています。 (2020年1月25日 6時) (レス) id: 945b78ea37 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - アイドル設定ではないんですね。 (2020年1月21日 2時) (レス) id: bcff119160 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミツ | 作成日時：2020年1月12日 21時
