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しばらくして、誰かが近づいて来る足音がした。
私はジョングクがまた帰ってきたと思って、脱衣所の扉を開かないように必死で手で押さえた。
TH「A」
だけどジョングクじゃなくて、テヒョンだった。
私はホッとして、押さえていた手を緩めると、すぐにその扉はテヒョンによって開けられた。
TH「……風邪ひきたいの？」
濡れた体を拭きもせず、服も着てない状態でしゃがみ込んでいた私の姿をみて、テヒョンは呆れたように深いため息をついた。
近くにあったバスタオルを取って、私の身体を隠すように掛けてくれると、髪を優しく拭いてくれた。
「テヒョン…どうしよう…」
TH「大丈夫。事情を説明すれば分かってくれる」
「ジョングクだって、」
TH「あの感じじゃ、ジョングクは気付いてない」
泣きそうになる私を慰めるかのように、大丈夫、とさっきまでとはまるで違う優しい声に、混乱していた心が少しづつ落ち着いてきた。
そうだ。
こういう時こそ、冷静にならなきゃいけない。
冷静になって、解決法を考えなきゃ。
「テヒョン、ありがと」
TH「ん。ちゃんと服着な」
そう言って頭にぽんぽんと手をのせてから、テヒョンは脱衣所から出て行く。
不意に感じたテヒョンの優しさに、少し胸がぎゅうっと締め付けられるような感覚がした。
「……よし、ファイティン！私！」
見られちゃったんだから、今さら隠せない。
ジンに正直に、話してみようと思う。
テヒョンだっている。
大丈夫、きっと大丈夫。
私はそう自分に言い聞かせるように、服を着てから脱衣所を後にした。
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作者名：ミツ | 作成日時：2019年7月21日 20時
