【04】 ページ4
.
すぐにタクシーを捕まえて、家の前に着いてみれば実家の前には黒いワゴン車が止まっていた。
何度か見たことがある。
兄の事務所の人が来てる。
その光景をみてすぐに、ただ事じゃないと感じた。
「A…！」
実家の扉を勢いよく開けると、目に涙をいっぱいに溜めて崩れ落ちるお母さんが私の名前を叫んだ。
そんなお母さんに駆け寄って、私は抱きしめた。
「何が…何があったの？」
決して大きくない部屋の中。
泣いているお母さんと、そんなお母さんに寄り添う未だ状況が飲み込めていない私と、もう一人。
「君は…妹さん？」
泣き崩れる母は震えていて、とてもじゃないが落ち着いて話せない様子で、そして頭上から聞きなれない男性の声が聞こえた。
兄の、BTSの、マネージャーだった。
「はい。妹のAです」
「…これは驚いたな」
私が顔を上げマネージャーと視線が交わったとき、彼は心の底から驚いたような表情をした。
そして視線を外すことなく、私にゆっくり近付き、頭から足先までまじまじと見つめた。
「ちょっと…状況を説明してもらえませんか？」
「声までそっくりじゃないか」
「あ、あの…！」
「…こんなことがあるんだな」
マネージャーが私を見ながら、何か呟いている。
理解できないと私が声を荒げると、マネージャーは驚いた表情から真面目な表情に変わって。
相変わらず母の肩は震えていた。
「今日の朝、メンバーがこんなものを見つけた」
そう言って目の前に出されたのは、小さなメモに見慣れた字で書かれた言葉。
"どうか探さないでほしい"
見間違えるはずがない。
それは紛れもなく、兄の字だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1058人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミツ | 作成日時：2019年7月21日 20時
