第6話『本能』 ページ6
何も考えない。ただ目の前の障害を自分の手にある己で叩き伏せる。それだけが頭の中にあった。
既に自身は重症、相手は脇差、打刀2振りが残っている。
槍に腹を貫かれ、短刀に利き腕を負傷させられた。
痛みはそこまで感じなかった。アドレナリンが大量に分泌されていたのだろう。
唯、もう上手く力が入らない。
死ぬ。もう避けられない。
だけど刀を持つこの手は離さなかった。
はぁはぁと肩で息をする。
心臓の音が五月蝿い。目は邪魔者から逸らさない。だが足はジリジリと後退する。相手も同様に私を追い詰める。
そして私は気づけなかった。
もう、私の後ろにはこの脚で踏める地面など無かったことに。
打刀が前に出る。
私を殺すために刀を振り上げて足を踏み込んだ。
その時、みしりと地面から音が鳴り
私の立っていた地面さえもが崩れ落ち、山の側面を転がり落ちて行く。
目が回って今何処で敵がどうなっているか分からない。唯、己を手放さぬよう、両手で必死に柄を掴み転倒の衝撃に耐えた。
『ッ！！、ふ、ッ！、』
十何秒かすると開けた場所に出たのを感じた。
私の体は木の幹に打ち付けられて漸く回転が止まる。
『ッ！！！』
頭も打ちつけたようだ。脳がグワングワンと揺れ吐き気を催す。意識も容易には保っていられない。今私を保てているのはアイツらへの殺意と死にたくないと願う、その気持ちだけだった。
歯を食いしばり、息が整わないまま、未だハッキリと物を捉えられない目を酷使して敵の姿を察知しようとした。
そんな中私が目にしたのは私の足元に刺さった一振の刀と薄汚い布を被った何かを筆頭とした謎の集団であった。
「おい！アンタ、大丈夫か！？」
その言葉を聞いた瞬間力んでいた体から力が一気に抜けた。
手から己が音を立てて滑り落ちる。
あぁ、人間と出会えた。恐らくは刀剣男士達だろう。これで私はまだ生きられる。息をしていられると酷く安堵した。
安堵したと共に全身に痛みが戻り、疲労感が私を襲った。今まで張り詰めていた弦をいきなり切り離された様だ。
もう一歩も動けない。喋る気力もない。全身が痛い。
血が足りない。目の前が歪んで見える。
出血死か？
そんなの、嫌だ、死にたくない、必死に戦ったのだ、生きるために、命をかけたのだ！
『―――――――――……、』
口がはくはくと動く。
もう音にすらならなかった。
【タスケテ】
そう彼は言ったように山姥切国広には見えた。
？「……。」
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臨海林檎(プロフ) - つっ…続き読みだい…（泣）更新停止なんて悲しい…忙しいのは…知ってるけれど…()……イメ画描いたら…更新来るかな…(白目) (2018年12月26日 22時) (
レス) id: 8a0a48b25e (このIDを非表示/違反報告)
こここ(プロフ) - 臨海林檎さん» そんなことねぇよ…。後から読んだら「此奴何書いてんだ…」ってなるしほんと絵も文も下手やで…。でも読んでくれてありがとう！笑 (2018年12月16日 12時) (レス) id: 2ad47acff4 (このIDを非表示/違反報告)
臨海林檎(プロフ) - …………？！(見に来てみたら文才すげえっていう)こっこ…絵も…文才も…？！天は貴方に二物も三物も与え給うたんだな… (2018年12月14日 21時) (レス) id: 8a0a48b25e (このIDを非表示/違反報告)
こここ(プロフ) - 三日月☆さん» 応援ありがとうございます！更新については気持ちに指先が完全に追いついてないですね（白目）アレコレ書きたいってのはあるんですが…、亀更新になりますが宜しくお願いします！（） (2018年11月12日 7時) (レス) id: 2ad47acff4 (このIDを非表示/違反報告)
三日月☆ - 三日月爺ちゃん…………やさすぃ(^-^)更新頑張ってください！応援しています！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こここ | 作成日時：2018年10月21日 8時
