第23話『距離』 ページ25
今の自分が信じられるのは己の力のみ、と改めて心を決めたと同じ頃合にカレーも食べ終わる。
湯のみに注がれたお茶を飲み、香辛料で少しヒリヒリとする喉を宥めた。
「かれーとやら、少し刺激的だが嫌いではない味だ。また食ってみたいぞ。」
と三日月が一足先に食器を片し、そう口を零していた。
それに三条やら鶴丸等が言葉を投げかけ、私を挟んで会話をする。
所謂ぼっち状態なのだが如何せん彼等と馴染む気にはなれず、足を動かし自分も厨へと食器を片しにいく。
厨には歌仙兼定がいて、未だお代わりを続けている刀の為に鍋を掻き混ぜていた。
幼子では無いのだから自分達でよそえば良いのに…と思ったが良く良く考えれば彼らに食を任せてしまえばどうなるか分かったもんじゃない、という結末に至った為其れが最適解なのだと理解した。
「おや、君は先程の暁とやらだね。その食器はこっちに渡してくれればいいよ。…っと、ここでの初めての食事なのによく食べる刀なんだね。」
粥と合わせてカレーの容器も持っていたことに少し驚いたのだろうか、くすりと笑って受け答えをする彼に少しばかり恥ずかしさを覚える。
やはり2杯は食べ過ぎただろうか…。
手渡しで食器を渡し、口パクで「ご馳走様でした」と伝える。
すると彼は僅かに目を見開き、少し複雑そうな顔をしながら「お粗末さまでした」と返してくれた。
食事も済ませたことで、次にする事と言えば風呂に入って就寝する位だろうか。
さすがにこの時間に出陣命令等は無いだろうし、誰かに風呂についての説明を受けたいところだ。
誰が良いだろうかと悩んだが、直ぐに思い浮かぶのはやはりあの男で、その思考回路に至る自分に不安になる。
三日月宗近、目が覚めてからずっと彼と行動している為頼りたくなるのは自然なことだが彼を信じきるのは危険行為そのものの為他の誰かに頼みたい。
勿論三日月は悪い刀では無いのだが、保身の為故に入れ込んでしまうのを避けたいのだ。
そうすると…誰がいいか。
ふと目に付いたのは膝丸であった。
座卓から立ち上がり広間から出ようとする彼に近づいて肩をトントンと叩き、足を引き留める。
「暁?どうしたのだ。俺に何か用か。」
私は彼の手を取り、その掌に文字を書いて内容を伝えた。
「ふむ…、風呂の入り方か。教える事には構わないのだが俺で良いのか?」
気を使ってくれたのだろうが、私としては是非とも貴方と御一緒したい。
頷き、彼と歩みを共にする。
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臨海林檎(プロフ) - つっ…続き読みだい…(泣)更新停止なんて悲しい…忙しいのは…知ってるけれど…()……イメ画描いたら…更新来るかな…(白目) (2018年12月26日 22時) (レス) id: 8a0a48b25e (このIDを非表示/違反報告)
こここ(プロフ) - 臨海林檎さん» そんなことねぇよ…。後から読んだら「此奴何書いてんだ…」ってなるしほんと絵も文も下手やで…。でも読んでくれてありがとう!笑 (2018年12月16日 12時) (レス) id: 2ad47acff4 (このIDを非表示/違反報告)
臨海林檎(プロフ) - …………?!(見に来てみたら文才すげえっていう)こっこ…絵も…文才も…?!天は貴方に二物も三物も与え給うたんだな… (2018年12月14日 21時) (レス) id: 8a0a48b25e (このIDを非表示/違反報告)
こここ(プロフ) - 三日月☆さん» 応援ありがとうございます!更新については気持ちに指先が完全に追いついてないですね(白目)アレコレ書きたいってのはあるんですが…、亀更新になりますが宜しくお願いします!() (2018年11月12日 7時) (レス) id: 2ad47acff4 (このIDを非表示/違反報告)
三日月☆ - 三日月爺ちゃん…………やさすぃ(^-^)更新頑張ってください!応援しています! (2018年11月11日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こここ | 作成日時:2018年10月21日 8時