第11話『告発』 ページ13
書いた内容を2人に見せる。
主さんは少し眉を顰め、三日月は笑んだ表情こそ変わらないものの眼に期待の色を孕ませた。
「君にも分からないのか…?どういう事なんだ。」
続きを書くべくもう一度ペンを取る。
元人間の刀、それを政府がどう処置するかは分からない。
保身の為に「私は本物の大典太光世、姿形の件はバクか何かだろう。私は怪しいものでは無いから刀解しないでくれ。」とでも云えば生存確率は素直に報告するよりも上がるだろう。
然し私はそこに虚偽の申告を書かなかった。
元より嘘をつくのは下手な性質であったし、もし吐いたとしても全てを見透かしていそうな隣の刀を騙せる気は毛頭無かった。
何より自身の為に嘘をつかなかったのが大半の理由である。
今の自分が出鱈目な存在である事を私自身が一番理解している。
さらに己の経歴に造説を加えるとなるとそこには唯の別人が存在する事になる。
『私』の体は別の男に書き換えられ、自己を確立する要素が眼に見えなくなってしまった。
それでも私が『私』だと証明出来るものは己の自我のみである現在、自身で自身の存在をこれ以上朧にしたく無かったのである。
『私は元々人間であった者です。ある交通事故により死亡し、本当はもう存在する事の無い身でしたが眼を開けるとそこにはこんな身体になった自分と刀が在ったのです。』
文字を起こし、己の身に起こった事実を書き連ねる。それを読んだ2人の反応はそれぞれ違っていた。
「……まじかァ…。本当にこんな事って有るんだな…。こんな二次創作みたいな…、まじかァ…。」
主さんは信じられないと言った様子で此方を見つめる。
「ふむ…、成程な。だからあの時のお主を本物の人間の様だと感じたのか。実際人間だった訳だ。ははは。」
三日月に至ってはよく分からない事を呟きながら朗らかに笑っていた。
あの時とはいつの話だろうか。
「とりあえず、君自身にも君が分からないという事についてはこれで理解が追いついたよ。自分自身が何者か分からなくて不安だったろうに、よく話してくれたね。有難う。」
ふわりと笑みを浮かべ私の頭を優しく撫ぜる。
まるでこれ迄の不安や恐怖を取り払ってくれているようで安心を覚えると共に、優しい言葉と表情に涙腺が緩んでしまいそうだった。
「じゃあこっちが君について分かっている事も話そうか。」
そう言って部屋の片隅に置いてある己を取り出し、私の目の前に差し出した。
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臨海林檎(プロフ) - つっ…続き読みだい…(泣)更新停止なんて悲しい…忙しいのは…知ってるけれど…()……イメ画描いたら…更新来るかな…(白目) (2018年12月26日 22時) (レス) id: 8a0a48b25e (このIDを非表示/違反報告)
こここ(プロフ) - 臨海林檎さん» そんなことねぇよ…。後から読んだら「此奴何書いてんだ…」ってなるしほんと絵も文も下手やで…。でも読んでくれてありがとう!笑 (2018年12月16日 12時) (レス) id: 2ad47acff4 (このIDを非表示/違反報告)
臨海林檎(プロフ) - …………?!(見に来てみたら文才すげえっていう)こっこ…絵も…文才も…?!天は貴方に二物も三物も与え給うたんだな… (2018年12月14日 21時) (レス) id: 8a0a48b25e (このIDを非表示/違反報告)
こここ(プロフ) - 三日月☆さん» 応援ありがとうございます!更新については気持ちに指先が完全に追いついてないですね(白目)アレコレ書きたいってのはあるんですが…、亀更新になりますが宜しくお願いします!() (2018年11月12日 7時) (レス) id: 2ad47acff4 (このIDを非表示/違反報告)
三日月☆ - 三日月爺ちゃん…………やさすぃ(^-^)更新頑張ってください!応援しています! (2018年11月11日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こここ | 作成日時:2018年10月21日 8時